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成吉思汗さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

葬式行列での禁忌
短編 2022/03/24 20:22 2,918view
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私の生まれは、とある東北の寒村。

そこの葬儀は一般的な葬儀とは異なり、最初に火葬しお通夜から告別式そして葬式行列にて墓所への納骨その後精進落としという参列者への振る舞いと個人を偲ぶ会が催されるといった形で葬儀全般が進行します。

この真冬の葬儀にて実際にあった怖く不思議なお話です。

私の祖父が急逝し葬儀が行われました。特に問題なく葬儀が進行し、参列者ほぼ全員が参加して葬式行列へと移行しました。この地方独特の風習です。

この風習には決め事や禁忌があります。

まず行列の先導者は直径の孫で男の子であること、その後ろに喪主がお骨を持ち続きそして故人の家族、親戚、友人等の順に一列に並んで墓所に向かって行進します。

その際に禁忌があって、決して後ろを振り返ってはいけないことと、道順は後戻りしないような道順を選ばなければならないということです。それに反すると誰かが連れていかれる、そんな風に言い伝えられていました。もちろん迷信だと誰もが思っていました。

葬式行列当日、私は先導役を仰せつかり行進が始まりました。

前日から雪がひどく一晩で50cm近い積雪がありました。

当初予定していた行列のコースが除雪作業の影響で進めず急遽別のコースをとることになりました。

一つ目の禁忌はこのコース取りでした。

本来一本道を進まなければならないところ、そのコースでは道が交差しているところがあったです。

しかし地下道での交差なので問題代だろうとの大人たちの判断でそのまま行進することに。

そして最大にして決定的な禁忌を犯してしまったのは先導役の私でした。

私は蓑笠スタイルで先導していたのですが、突風に煽られ笠が飛ばされ咄嗟に笠を追いかけて後戻りをしてしまったのです。

参列者全員に「あ、やっちゃった!」という嫌な雰囲気が蔓延しましたが、葬儀を中断するわけにもいかずそのまま滞りなく葬儀を終えました。

不幸はそのすぐ後に訪れました。

精進落としも終わり家族で寛いでいると電話が。葬儀当日に仕事で参加できなかった親戚の叔父さんが雪崩に巻き込まれ亡くなったと。

家族のみんなはなんにも言いません。迷信だとは思います。そう思いたい。

でも、私は怖くなってその晩は一睡もできずに一人泣いていました。

それがトラウマになったのか、私は30年経ったいまでも葬儀に参列するたびに震えてしまいます。

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コメント(1)
  • 孫がいない人は葬式してもらえないの?

    2022/10/22/14:24

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