霊媒師の本性

当時私は原因不明の肩こりに悩まされており、もしかしたら霊障じゃないかと疑い、ある霊媒師に診てもらいにいきました。

その方は派手な中年女性で、両手に何個もゴツい指輪をし、胸元には大粒の真珠のネックレスをかけていました。

「あなたの肩こりはご先祖様に殺された男の祟りです」
「えっ？ほ、本当ですか！？」
「嘘ではありません。ご先祖様は何人も人を殺した極悪人です、早くお祓いをしないと大変な事になりますよ」

霊媒師曰くご先祖様の因縁絡みで私に憑いた悪霊は十体をこえており、放っておけば大変なことになるそうです。

さんざん脅されてすっかり震え上がった私は、霊媒師に勧められるがまま貯金をはたいて、三十万円コースのお祓いを頼もうとしたのですが……。

契約を交わす直前、霊媒師の背中に黒っぽくモヤモヤした影が群がっているのに気付きました。
しかもその影は彼女が嵌めた指輪や胸元のネックレスに手を伸ばし、今にも毟りとろうとしています。

これはまずい……慌てて席を立ち、「やっぱり考え直します」と一礼して事務所を後にしました。

数日後、私が診てもらった霊媒師が詐欺で逮捕されたニュースが飛び込んできました。

彼女が身に付けていた装飾品は、被害者から騙し取ったお金で買ったものだったのでしょうか。