『うつし人形』を使った肝試し

私の住む市にはホラースポットとして有名な一軒家があります。
その家は何年も前から空き家ですが、垣根の一部が壊れているので、ホラー好きが訪れては肝試しをしています。

その家の一階にある和室には『うつし人形』と呼ばれる人形があります。
椿柄の赤い着物を着ていて、きれいな黒髪にうっすらとした笑みをたたえた、よくある日本人形です。

肝試しのやり方は簡単です。
人形の腕のパーツは外すことができるので、腕を抜いて、左腕のパーツと右腕のパーツを反対に付け替えるだけです。
するとその瞬間、その部屋にいる人間の左腕と右腕も反対になってしまうんです。

人形と同じように、左肩からは右腕が、右肩からは左腕が生えてしまいます。

腕の位置が移されてしまうなんてびっくりですよね。

でも大丈夫、人形の腕を元通りにはめ直せば人間の腕も元に戻ります。
ちょっと怖いし、腕が左右逆になっている状態で人形の腕をはめ直すのが大変だけれど、元に戻らなかった人はいません。

私も二ヶ月前に友達と肝試しをしに行ったんです。
きゃあきゃあ笑いながら人形の腕を付け替えて、大騒ぎしながらはめ直して、怖かったけど楽しかったです。

ただ肝試しの後、今まで着ていた服が上半身だけサイズが合わなくなって、ほとんど買い直すはめになりました。
なんというか、前より腕が長くなった気がするんですよね。

一緒に行った友達は腕相撲が強くなったんですよ。
すごく華奢な子なのに、腕相撲で男の人にも勝つことがあるくらいで……どうしてなのかな、不思議です。