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不思議体験

ayaさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

おばあちゃんからの伝言?本当にあった不思議な体験
短編 2020/12/28 13:58 1,501view

霊感は特別つよい方ではありませんが、昨年のちょうど今くらいの時期に不思議な体験をしました。

その日は朝から飼っている猫の様子がおかしく、いつも鳴かないような声でにゃーにゃ―となきます。「こんな時間に何なの?」と思いながらも、猫のあとをついて2階へ。まだ暗い時間帯なので、うっかりすると転んでしまいそうです。

足元に気を付けながら猫と一緒に洋間に入ると、いつもは鍵のしまっている窓がなぜかあいています。「昨日の夜にたしかに戸締りをしたはずなのに?」と思いながら、いぶかしく思う私。同居している母が、もしかしたら鍵の閉め忘れをしたのかもしれません。

そのとき大きな嵐のような風が吹いてきて、カーテンが大きくめくれました。このあたりは突風もない静かなところなので、まるで台風のような大きな風に私はとてもびっくりしました。

ふと後ろを見ると、飼っている猫がまたニャーニャーと鳴いています。ニャーニャーと鳴く様子をみて、私はちょっと気味が悪くおもいました。猫がないているのは、私の方でもなく壁の方。まるで何もない壁のあたりに「何かが」そして「誰かが」いる感じです。猫の瞳は壁の方をみてグルグルと丸くまわりました。

「何かがいるの?やめてよ」私は怖くなってしまい、思わずきつい口調で言ってしまいました。それでも飼い猫はまだ壁をじっと見つめて、何かを言っています。まるで誰かと会話しているみたい。でも誰と?誰か私の知っている人が、この室内にいるの?

それから部屋の中が急にあかるくなりました。太陽がのぼってきたみたいです。さっきまでの暗がりが消えて、私は心底ほっとしました。振り返ると、もう猫の姿はいないみたい。どうやらお腹が空いたみたいで、えさを食べにいったようです。「なんだ…怖いものは気のせいだよね」私は自分を元気づけるためにそうつぶやきました。この世に怖いものなんて何もない。そう自分を奮い立たせたかったのです。

◇病院へ急ぐ母

そんなときに母の携帯がなりました。入院している祖母の具合が急変したので、すぐに駆け付けてほしいという話でした。

実は私の祖母はそのころ、重い病をわずらって入院していました。かれこれ3年くらい寝た切りの状態がつづいていて、なかば植物状態にもなりかけていたのです。私は小さいころから祖母にとても可愛がってもらっていたので、自他ともに認める「おばあちゃんっ子」でした。母が仕事で日中家にいなかったので、まるで本物の母親代わりのように祖母になついていたのです。

大好きな祖母だったのですが、私が大人になるうちに、祖母との時間は少しずつ減っていきました。おばあちゃんと過ごす時間よりも、彼氏や友達と一緒にあそぶ時間の方が大切になっていったのです。年をとるにつれて祖母は身の周りのお世話が自分1人でできなくなり、老人ホームに入ることになりました。

そのときにおばあちゃんの手を握ったのですが、思っていたよりも皴しわで、まるでミイラのように薄っぺらいと思いました。あんなにたくましかったおばあちゃんが、すごく年老いて見えて気の毒になりました。

その後老人ホームに入った祖母は、ストレスや疲れもあってかしだいに無口になっていきました。たまに母に連れられて面会に行っても、言葉が少なくあまり口を開かないようになりました。それから数年のうちに祖母は植物人間状態に。何を問いかけても、何を話しても返答のない状態になりました。

そんな祖母のことを考えながら、私と母は病室へ。気づけば私の心の中には、祖母がいました。早く祖母に合いたい…そんな気持ちになっていました。

◇病院での祖母は

病院につくと祖母は、さらに小さく弱弱しくなっていました。たくさんのホースや空気ボンベがついていて、まるで人造人間みたいです。看護師さんが私たちの姿をみて、申し訳なさそうにいいました。

「ご臨終です」「せっかく急いでくださったのに、最後に立ち会っていただくことができずに残念です」看護師さんは目をふせました。

あとから聞いた話ですが、その日の早朝に祖母は、目をひらいて看護師さんたちにおしゃべりをしていたそうです。昨日まで寝たきり、しかも植物状態だったのに…。と看護師さんたちは奇跡が起こったと思ったそうです。

早朝の時間といえば、窓が開いていて猫が誰かと話していた時間とぴたりと重なります。私はあのころのことを思い出すたびに「祖母が最後のお別れを言いに、我が家に遊びに来ていたのではないか」と思っています。

母に聞いたところ、その日に窓を少しでも開けた記憶はないそうです。猫は霊感のある生き物と聞きます。私たち人間には見えないものが見えると言われています。植物人間状態で話すことすらままならなかった祖母ですが、最後には「誰かと心のこもった交わり」をしたかったのではないかと思います。

いのちを振り絞って、我が家まで遊びに来てくれたおばあちゃん。お礼参りに来てくれたんだよね。本当にありがとう。今まで精いっぱい生きてくれて、私はうれしかったよ。

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コメント(1)
  • 最期に貴女に逢いたかったのね、あの世で貴女を見守ってくれると思うわ。

    2021/01/16/16:09

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