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ヒトコワ

アオゾラ カナタさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

夢の少女
短編 2024/01/10 18:16 721view

「○○区の小さい公園に行くといいよ、貴方の助けを待つ人がいるの」

これがオレをシアワセ者に導いてくれた夢の少女の最初の助言だった。
✕✕町に住んでいる俺はとある満月の夜、夢の中で6歳くらいの少女が出てきて助言をくれるのだ。最初は変な夢だと思っていた、だが夢は何かしらの予兆とも言われているし、丁度今日は一日暇だったので騙されたと思ってその公園に散歩に出かけた。
公園についてベンチに座りしばらくすると遊んでいた子供と祖母と思われるお婆さんが家に帰ろうと公園を出て行った「何にもねぇじゃん」っと体を伸ばしながら呟いた時だった暴走トラックが遠くから2人に向かって来ているのが見えた。俺は咄嗟に2人に抱きついて滑り込んだ。高校、大学でラグビーをやっていた事が功を成したか俺を含めてこの場に怪我人はいなかった。トラックは俺たちに気づかず走って行ったので警察に電話をし念のため2人で病院に送った。後からやってきた両親からはものすごく感謝されてお礼と言って大金を渡そうとしてきた。断ろうとしたが押し切られえしまい結局受け取ってしまった。だが夢の少女のおかげで人助けをすることが出来たのは確かだ。
それから決まって満月の夜の日少女は助言を伝え俺は言う事を聞いた。人助けはもちろん宝くじや競馬などの当たり番号を教えてくれた。少女の助言のおかげで人との関わりもお金も十分すぎるほど幸せになった。

少女が助言をくれるようになってから6ヶ月後、古い友人から連絡があった。金持ちになってから金目的で関わってくる人もいるでここ最近は警戒をしているのだがこの友人は信頼できるから平気だろう。そう思って居酒屋で合流した。俺と友人は酒を交わしていい感じに酔っぱらってきた所で俺は夢の少女について話した。すると友人が急に顔を青ざめこれにこういった。

「その女は危険だ、最初はいい方向に導いてくれるが信用を勝ち取った瞬間その人の人生を陥落させる!悪魔なんだ!これ以上夢の女の言う事を信じちゃダメだ!」

俺は友人の言葉を聞いて目が冷めたかのように急に寒気がして来た。確かに今まで良いことがありすぎた、急に少女が牙を向けてくると考えると怖くなった。俺は友人を忠告を受け入れてその日は解散した。

その日の夜例の少女の夢を見た、夢の中では声を出す事はできないが意識だけはしっかりしている、「もうお前の言う事は聞かない、言う通りにはならないぞ」そう考えていた。少女はいつも通り助言を言おうとしたが今回の内容は今までの中で一番驚かされた。

「◆◆君を……して、貴方の……のためだよ。」

その予言を聞いた瞬間、俺は飛び上がるようにして目覚めた。窓を見ると少女の夢を見るようになってから丁度6回目の満月だった。今回はノイズが入っているかのようで聞き取りずらかったが内容は理解した。自分の手で友人を手にかけろと……友人の言う通りなら聞いてはならない、だが少女は特に不審な様子もないし本当に幸せのために言ってくれているのかもしれない。俺は……俺はどうすればいい……どうすれば
どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすれば、ドウスレバ、どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすれば、どうすれば、ドウスレバ、どうすれば、どうすれば、ドウスレバ、どうすれば、どうすれば、ドウスレバ………………

俺は悩んだ……少女の言う事を聞くべきな気がする、だが友人の忠告もある……同じことを頭の中で何度も考えた。そしてついに力尽きたのか俺はいつの間にかまた眠りについた……まだ満月が隠れる前だったこともあり少女がまた出てきてこういった。

「ねぇ……幸せに……なりたくないの……」

涙を流しながら少女は話していた……オレの事を考えてくれているのか大粒の涙を流しながら……ソウだ、今まで導いてくれた神様のような子が悪魔の訳がない。アァ、考える時間は無駄だったな。オレは夢から覚めると早速行動を実行した。オレのシアワセのために。

少女の助言を聞くことを改めて決意して6ヶ月、少女は満月の日以外でも助言をくれるようになった。あれから少しばかり違和感を感じているが気のせいだろう。
そういえばこの6ヶ月無差別殺人鬼が現れたようだが、その人にも少女のような助言をくれる人がいればオレみたいにシアワセになれただろうに……さて、助言通りなら次はあの人か……。

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