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ヒトコワ

りうさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

雨の日
短編 2023/12/02 23:33 1,204view
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32才独身、バス通勤してます。
その日は曇りで今にも雨が降りそうでした。私はそんな日は必ず傘を持つようにしてます。スーツを濡らしたくないので少し大き目めのやつを使ってます。
案の定、バス停で雨が降り出したので傘をさしてバスを待っていました。朝に弱い私は、いつも目をつぶって寝ぼけまなこでバスを待ちます。
隣には毎朝会う女性が立っていました。おそらく50才くらいだと思いますが、前髪が長くメガネをされているので顔をハッキリ見たことがありませんでした。
それと、私はイヤホンで音楽を聞いているので何を言ってるのか聞き取れないのですが、その女性、時々モゴモゴと小さな声でひとり言を言うことがあるので、特に挨拶もすることなく関わらないようにしていました。
5分ほど待ってバスが来ました。乗り込もうとすると、その女性は、またモゴモゴと何かを言っていました。

仕事を終え、会社からバス停に向かいました。朝よりも激しい雨が降っていました。

バス停に着いて立っていると、朝の女性が隣に来ました。帰りに会うのは初めてのことでした。
その女性は、傘を持たずに私に寄り添うように立って、明らかに相合い傘状態となってしまいました。
ちょっと待てよ、キショいよと思って、少し異動すると、その女性も同じ方向に異動してきました。さすがに意を決して
「ちょっと離れてもらえますか?」
と言うと、その女性は
「はぁ?いつも朝は入れてくれるじゃな〜い」
「帰りも入れてほしくて、わざわざ待ってたのよ〜」

と返してきました。
その時、初めてちゃんと顔を見たのですが、声の感じや肌つやからすると50代ではなく同年代ぐらいで、目がイッてました。私は寒気と怒りが同時に込み上げ、とっさに
「は?朝は入れてる?意味わからんこと言うなよ!」
と返すと、
「も〜なに言ってるの、今さら照れなくてもいいでしょ」
と手を握ってきました。
私は、「あ、ヤバい」と直感し、その場を離れようとした時、その女性が言いました。
「明日も朝から雨よ。家の前で待ってるね。」

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コメント(1)
  • 鳥肌が立ちました😱

    2023/12/10/01:29

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