近所の奥さんの怖い一面

双子の娘さんは、A美さんのことをママと慕い、ご主人の留守の間はA美さんが面倒を見ています。
ところが、私はこの後、驚くべき事実を知ってしまったんです。街でA美さんを見かけたとき、彼女の横には、あのヨガのインストラクターがいるのです。腕を組み、親しげに話していました。
私は、もしかしての考えに達しました。

双子の娘さんは、A美さんをママと前から呼んでいました。
そうなると、「ママの恋人」というあの言葉は、もしかしてと、私は思いました。
A美さんが不倫をしていた事実も驚きましたが、彼女がT子さんを陥れたことにもショックでした。
私は、A美さんに対する見方がかなり変わってきました。

私は、どうしてもA美さんに真相を聞いてみたかったのですが、なかなかそのチャンスはありませんでした。
ですが、ある日。私の行動を怪しんだのか、A美さんの方から話しかけてきました。

「T子さんがいなくなって、寂しくなりましたね」

と、私が言うと、A美さんがフフッと笑って、
「本当ね」
と言ったので、やっぱりA美さんもそう思ってるんだと思ったら、次の瞬間。怖い一面ぐらい真顔になりました。
「もっと、もっと追い詰めてあげたかったのに」
と、呟きました。

いつも、ほんわかした笑顔のA美さんとは思えない無表情さに、私の背筋がゾッとしました。
人間は、あんな風に一気に表情が変わるのかと思いました。
怖いと思う場面はたくさんあります。オカルト的なことや、犯罪など様々ですが、こうした人間の闇の部分を見るのは、かなり怖いです。

どれだけ良い人だと思っていても、その裏には想像もできないような真実の顔があるのだということを知ってしまったとき、本当に人との付き合いって考えなきゃと思いました。
A美さんは、相変わらず双子の娘さんの面倒を笑顔でみています。