カラス

ある高校に、「カラス」と呼ばれいじめられている女の子がいた。

髪質なのか、風呂に入っていないのか、真っ黒な髪がテカテカしている容姿で、
その名がつけられたらしい。

男女ともにいじめられ、先生も黙認状態。
親も「いじめられる方が悪い。」と突き放し、出来のいい弟たちを可愛がった。

カラスは自殺を考えたが、死ぬのも怖い。

クラスメイト達は、いつの間にかいじめに飽き、
友達こそいないが、一人で安息の日々を得た。

そんな時、一人の目立つ女の子の筆箱がなくなり、
確証もないのにカラスのせいにされた。

カラスはまたいじめられる日々が続いた。

「さすがに自殺するんじゃね？」
ある男子生徒の発言で、またいじめは次第になくなっていった。

迎えたバレンタイン、カラスはクラスメイト全員に愛情たっぷりのチョコを作った。
可愛いラッピングを施し、クラスメイトに配った。

クラスメイトは困惑したが、「許してもらえたんだな」と解釈した。

まあ今後いじめるのはやめてあげよう。皆がそう思った。

しかし、不潔感満載のカラスのチョコ。
誰一人として口にするものはおらず、ある生徒は学校沿いの川に捨て、
またある生徒はカラスに返却した。

そしてある男子グループが、まとまって下校中、
町のゴミ置き場にチョコを捨てた。

翌日、町中のカラスが死んだ。