鏡の中の女

ある病院での出来事です。

病棟の正面に大きな鏡がありました。
そこには夜には絶対に近づくなと言われておりました。

ある患者が、入院中に夕食後に鏡に向かってリハビリするのが、日課となっていました。
リハビリしている姿を見ながら、体を曲げたり、手や足をあげたり自分がどの位回復しているのか確認するのが日課です。

ある夜、トイレに起き、いつもの様に鏡に向かって姿を写しました。
鏡に何か不思議な影が微かに写った様な気がしました。
気のせいだと思い、鏡に向かって、私キレイと問いかけました。すると鏡の中から私もキレイになりたい。と
女の声がきこえてきました。

エッと思い鏡の中を覗くと何やら女の人がいました。

私もキレイなりたい。えんえんないているのです。

あなた誰なの？どうしてここに居るの？問いかけました。もっとこっちに来て。と言うので恐る恐る近づいてみました。私もそっちへ行きたい。何故私を置いて行ったの？私を嫌いなの？と言っているのです。
そんな事ないわよ。と言い返すと、本当に。
本当に嫌いじゃない？

突然、その女が振り返りました。
その顔は顔がえぐれ、ただれていました。
鏡の中から手と体半分出て来て、鏡の中に連れて行こうと引っ張るのです。大声あげてやっとの思いで手を振り払いました。

ハッと目がさめましたが、手首には赤くつかまれた後が
ありました。
翌日看護師さんに言うと知らないふりをしていましたが、後で聞いたら、亡くなった女の霊がいるとの事てした。