蛙の女

…
詳しく聞いてみるとこのマンションの住人は既知の事実らしいのだか、マンションの前で蛙について口に出すと後ろからおばさんが現れるらしい。所が、特に悪さはして来ないらしい。

そのおばさんの例は昔、小さな息子と2人暮らしでここら辺に住んでいた。ある日、その息子は外国人労働者に殺されてしまったらしい。その事で霊になった今も、成仏しきれずに彷徨っているそうだ。その息子が虫や動物が大好きだった。その中でも蛙が好きで蛙を探しに毎日元気に遊んでいた子供だった。

息子が死んだことを受け入れられず、蛙について口に出すと姿を現すらしい。マンションの住人は危害を加えられないので”蛙”については口に出さないようにしているそうだ。
Aと共に初めての心霊体験だったので、夏手前だったが恐怖から冷えた体を擦った。

Mも多少怖がっている様子だったが話を続けた。
一つだけルールがあり、このマンションに外人を入れてはダメというルールだ。
息子が殺された怨みが原因かは分からないが、外人が住むと必ず1ヶ月と経たずに人が変わったように
なり、退去していくらしい。
近くには外国人労働者を受け入れる工場があるらしいが、近くのマンションやアパートを探してもこのマンションにだけ1人もいないらしい。

などと話をしている途中に遮るように

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ
みんなﾋﾞｸｯと少し驚いた。

Dからの電話だ。
仕事が終わって電話をしてきたみたいだ。
Aが電話に出る。

A「今どこー？」
D「家の前に着いたよー。」

窓から外を見ると、話に夢中になってたみたいで2時間くらい経っていたようで外は真っ暗だ。
D「つーか、ここ蛙凄くね？w」

僕は言いやがったとか思っていると電話からDの声がない。
A「おーい。 D？」

ここでみんなハッとした。
Dの外見は、ロシア人のような風貌でくっきりとした瞼に高い鼻で外国人に見える外見をしている。

慌てて部屋を出る。
階段をものすごく勢いで下る。
緊張と恐怖で体が思うように動かない。

心配な気持ちと恐怖が頭の中を埋め尽くす。

AとMも今までに見た事のない表情をしていた。
2人は僕の前を慌てて走る。