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心霊

yumyさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

仕事の邪魔をするもの
短編 2021/01/25 22:09 1,138view
以前、半年だけ飲食店でバイトをしていたことがあります。その飲食店は空いていた家を改造したという古民家とまではいきませんが、民家を改築したカフェのようなお店で、席数は5席というような感じ。押入れを取り壊して作った部分もあり、そこはちょっとした個室のような感覚で人気だったのです。

働き始めて少し経つと、仕事中にそこにいるはずのない何かに仕事を邪魔されることも多かったのです。それは、お客さんに呼ばれて向っているときに、エプロンのすそを引っ張られたり、髪の毛をなでられるような感覚で、元々霊感のある私はなにかいるのだろうと思っていたのですが、実害がないならいいかと思うようになりました。

時折、「すいません」と呼ばれていくと、「呼んでません」と不思議がられることもあり、言い訳することが面倒だったということくらいの害だったので我慢していたのですが、その行動はエスカレートしていったのです。店を閉めて片づけをしていると、飾ってあるインテリアを落とされたり、植木鉢の葉を台風が来たのかと思うくらいに激しく揺らしたりとしたのです。正直、そのような出来事がおきたときにびっくりはするものの、それにいちいち反応していたら良くないと思い、気にしないように務めていたのです。

毎日のように何かが起きる職場に気味が悪いと思っていたのですが、給料もまずまずよかったため、続けていたのです。ある日、その日はちょっとお客さんが多くて、いつもよりも少し遅くなったのですが、片づけをしていると、何かいつもと空気が違うと思ったのです。何が違うのか分からないものの、ここにいたくないと、初めて思ったのです。

店長たちはキッチンの片付け、私がホールの片付けで一人だけだったのです。いつもと同じなのに、空気だけが違う。天井から押しつぶされるような感じ。ここから逃げなくてはと思いながらも、体がいうことをききません。すると、押入れを改造した場所の席が妙に気になり、そこから目が離せなくなったのです。すると、ぼんやりと誰かの影が出てきて、少しずつ形になっていくのです。

誰もいなかった席に、女性の後姿が登場し、それはくっきりとしたものになると、「すいません」と呼びかける声が。当然私はそこにいくことができません。それでも「すいません」「すいません」と続きます。その後姿の女性はゆっくりと立ち上がりながらも、「すいません」と呼び続け、その声はスピーカーで叫ばれているほど大きくなっていったのです。

見てはいけない、その存在に気がついていることを悟られてはいけない。そう思いながらも体は動きません。その女性はすっと振り返るのですが、本当にどこにでもいるような普通の女性で、恐怖を感じなかったのです。その顔を見たときは。

(普通のひとだ)そう思った瞬間、一瞬で女性の姿は消えたのです。気が済んだかと思った瞬間、背後に気配を感じたかと思うと、「私を見て」と耳元で聞こえ、振り返ってはいけないと思った瞬間、女性が目の前に現れると「私を無視しないで!!」と叫ばれたのです。私は悲鳴と共に意識を失っていきました。

目を覚ましたのは、店長たちに声をかけられたからです。私は、なぜか押入れを改造した部分の席に座り、寝ていたようなのです。
「ごめんね、疲れたね」といってくれたのですが、なぜここに私が座っているのか不思議な気持ちになりました。私は何とかごまかして、掃除を済ませて帰宅することにしました。しかし、その後すぐにバイトをやめることを告げたのです。なぜならあのあと、ずっとあの席にあの女性が座っているからです。ほかに御客さんがいるときも、誰もいないときも私を呼び続ける女性。私は耐えられなくなって辞めるしかなかったのです。私に無視しないでと呼び続けていた女性は私に気がついてもらって何を訴えたかったのか、それを知っても私には何もできないため、逃げるしかなかったのです。
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コメント(1)
  • メンヘラ幽霊こわい。
    見えて良い事なんて一つもないよなー

    2021/01/25/22:29

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