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ぞいさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

ある女性が眠らない理由
短編 2022/03/22 16:06 1,788view
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霊能者という仕事をしていると、たまに「おかしな患者さんを見て欲しい」と医者から依頼が来ることがあります。

その患者さんは20代の女性で、一定の周期で眠らない日があるそうです。
たまには夜更かししたい日もあると思いますが、、その女性は寝ないと決めた日に、口や鼻や耳など塞いだりするので、窒息寸前で病院に運ばれるそうです。

女性に話を聞くと、「身体から虫が出ていくので、眠らないし、穴を塞がないといけない」と言ったんです。

一定の周期を調べてみると、60日間隔で眠らない日があるのがわかりました。

「ああ、これは庚申講だな」

私は理由がわかったので、女性に三尸(さんし)が外に出ないようにする呪文を唱えて、「これでもうあなたの身体から虫はでませんよ」と話をして帰しました。

三尸というのは、60日毎にくる庚申の日に寝ると、身体から抜け出して天帝に宿主の悪事を報告して、それによって寿命が縮まると言われている三匹の虫のことです。
この三尸が出ていかないように庚申の日は眠らないで過ごす庚申講というのが平安時代に貴族の間で広まり、江戸時代には庶民も行うようになった民間信仰です。

ですが、現代にこの知識を持つ若い女性がいるということに私は驚きました。

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