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味噌汁の出汁さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

猿夢
短編 2023/12/12 18:50 1,413view

私が中学2年生の頃の話です。
クラス内の一部で怖い話が流行っていて、休み時間は教室の隅に集まり各々持ち寄った怖い話を話していました。
そんなある日、その中の一人が猿夢の話をし始めました。
簡単な内容としては、ある女子高生が夢の中で電車に乗り、その中で猿に乗客が殺されていき、最後には自分が殺されかけるところで目が覚めるというものでした。
その日の中で一番怖い話だったのでその後も盛り上がり、帰宅するまで話題に上がっていました。
その日の夜、眠りにつく前にふとこの話を思い出しました。
本当だったらなと少し怯えながらも、まあオカルトだしと気にしないよう眠りにつきました。

気が付くと私は駅のホームにいました。
周りは森に囲まれていて、ホームに設置されているベンチもボロボロになっていました。
あまりにタイムリーな内容だったため、これが夢だとすぐに気がつくことができました。

しばらくすると電車が来て、私のいる駅で停車しました。

聞いた話と同じような状況だったので少し怖くなりました。
しかし、もしこれで何かがあれば明日の話のネタになると考えてしまい、停車していた電車に乗ってしまいました。

車内には誰もいなく、静まり返っていました。
私は一番端の席に座り、この先どうなるのかとワクワクしながらも本当に何かあったらと内心ビビっていました。
するとさっきまで私以外誰もいなかったホームから3人電車に乗り込んで来ました。
そのうちの一人は私の隣に座ってきました。
私はその人をどこか知っている人のような気がしましたが、思い出すことはできませんでした。

全員が座ったところで「発車いたします」と不気味な声の車内アナウンスが流れ、ドアが閉まり電車が動きはじめました。
そのとたん金縛りに合ったかのように身動きが取れなくなりました。
さすがに本格的に怖くなり始め、どうにか目を覚まさせようともがきましたが体は一切動きませんでした。

体感2分程度そんな状態でもがき続けていると車両の奥から人間と同じほどの大きさの猿が横目に入って来るのが見えました。

その猿はアナウンスと同じ不気味な声で「この度はご乗車頂き誠にありがとうございます。次は首切り、首切り」としゃべり始めると、どこからか包丁を取り出し私とは反対側に座っていた人に向かっていきました。
そしてその人の首に向かって包丁を大きく振り下ろしました。
「ドスッ」という鈍い音と共に生々しい悲鳴が車内に響き渡りましたが、首は切りきれていませんでした。
猿はその後切りきれていない首に何度も包丁をたたきつけ7回ほどたたきつけた時、ついに首が落ちました。
首が転がり落ち、悲鳴はなくなり車内は静寂に包まれました。
私はもがき続けていましたが一向に体は動きませんでした。

すると猿は次の人へと向かい、目の前に立つと「次は火炙り、火炙り」とまたしゃべり始めました。
そのとたん、突然全身が火に包まれました。
火はバチバチと音をたて、黒い煙と異臭が漂い始めました。
その匂いで私は吐きそうになりましたが、口が開かず吐くことすらできませんでした。
火はどんどんと勢いを増していき、骨すら残さずその人を焼き尽くしました。

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コメント(1)
  • いい名前だな

    2023/12/12/21:02

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