夜中に現れた謎のお婆さん

僕は40代で、実家に一人暮らしをしています。

工場勤務で帰宅は毎日夜中の2時頃です。

車を車庫に入れる時に大きな音がするため、近所迷惑を考慮していつもそそくさと駐車します。

連日の勤務で疲れてきた頃、駐車をし終えた車の側にお婆さんがおり、とても驚きました。

近所の人だと思い、「すいません、うるさくして。」と言うと「こんな時間までお疲れ様です。」と言ってどこかへ歩いて行きました。

週に1回程度のペースでそのお婆さんが現れるようになり、その度に挨拶を交わすようになりました。

ある日町内会の集いで集会場へ行くことになり、お隣の方と会った時に「いつもうるさくしてすいません。」と挨拶した時。

「良いのよ。それより裏手で火事が起こったのを知ってる？」と訊かれました。

家の裏手にある一軒家が全焼したそうなのですが、その時は不在で、帰宅するのは夜中なため真っ暗で気づきもしませんでした。

お隣さんの話では、その家に住んでいたお婆さんが搬送されてその後どうなったか分からないそうです。

嫌な予感がして、火事の日時を訊いたのですが、そのお婆さんを目撃した日と同じでした。

夜中帰宅した時にお婆さんがいたという話をしたのですが、隣人からご近所にそんなお婆さんはいないということと、搬送後生きていても病院に入院しているはずだから家に来ることはありえないと言われました。

集会以降、あのお婆さんは来なくなりました。

未だにあの時会ったのが幻だったのではと自分の記憶を疑っています。