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呪い・祟り

シイさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

私が背負った蛇の怨念
長編 2021/12/06 20:41 1,429view
これは私の身に起った不思議なお話です。
某県の比較的栄えた町に生まれごく一般的な家庭で育った私ですが、生後すぐに髄膜炎によるくも膜下出血で生死をさまよった経験があります。
辛うじて一命をとりとめ、その後障害が残ることなく成長できたのはひとえに両親とお医者様のおかげなのだと思います。

しかしながら、私は病気が完治した後も長く頭痛を患っていました。特段、頭痛持ちというのは珍しくありませんが、私の場合、一般的な偏頭痛や緊張型頭痛と違い、原因不明の激しい痛みを伴う頭痛を発症していました。目の奥をえぐられるような痛み、何度も何度も叩きつけられるような脈動は、その瞬間とても耐え難いものです。頭を動かすのはおろか、瞬きや息を吸うのでさえ苦痛に感じるほどでした。

両親は、出生時の経験もあり心配して数々の病院を訪ね、その度にMRIなどの検査を行いましたが当時、原因は不明のままでした。
処方されたお薬を飲むことで症状は治まるので、これから折り合いをつけて生活をすればいいのだと生活し、私が11歳に成長した、ある日のことです。

週末、家族旅行で隣県の遊園地に遊びに行きました。その遊園地には動物園が併設されており、鳥や爬虫類といった動物たちがたくさんいました。物珍しさに心くすぐられた私は、思いの向くままに展示を進みます。「離れないでね」と言いつつも後方で私のことを静かに見守っていた両親でしたが、私が蛇の展示コーナーへ差し掛かった瞬間。

「いくな!」

それは、周りも驚くような剣幕で父が私を引き止めました。
たしか、あの時が初めて生きている蛇を初めて目にした瞬間だったのだと思います。展示そのものはちらっと見ただけでしたが、そこにいたのはそれなりに大きな蛇でした。

当時まだ11歳の私は、興奮しすぎて危ないことでもしかけたのだろうか。と思い、突然の出来事に戸惑ったものの、理由を尋ねることもなく父のもとへと戻りました。

今思い返せばあの日の父の顔は、私の危険を察知して止めたというよりも、恐怖に引きつっていたようでした。

その年の年末、母の実家に帰省し年越しをすることとなりました。離れた場所に住んでいるためなかなか会う機会のない祖父母は私のことをとても歓迎してくれました。

ついお酒が進んでしまったのでしょう、夜負い潰れて眠ってしまった父の面倒をみるため母が席を外したときでした。祖母はお風呂に入っていたのか、祖父と私が居間で二人きりになったタイミングで祖父は昔話を始めたのです。

「ここも随分と時代が変わってすっかり昔の面影もないがよ、お前が生まれるうんと前。じいちゃんがお前くらいの年の頃は、ここら一帯田んぼだらけでや」

お年寄りの昔話というのは味があるように感じられ幼いながら私は好きでした、が。その日の話はどことなく様子が違いました。

「昔は、よう蛇が出とっただ。今じゃちっとも見かけんが、家の中にまで入ってくるけんしょっちゅう棒でつついて追っ払っとった…」

「この辺、蛇がいたんだ…」

動物園での出来事が頭をよぎる中、祖父は続けます。

「おうぅ昔はな。そんでや、いつだかな、どえらい大きな蛇が家の前におっただ。わしのじいさんが、“こいつはこの辺の主だろうか、こんなのがうろついとってはおちおち生活もできん”って、いつも蛇をつついとった棒よりもさらに太いのを持ってきてな、畦のところの水路めがけてその蛇の頭を押さえつけて沈めたんだ」

「・・・」

「じいさんは“これだけじゃ暴れるけんいつもの棒も持ってきて殴れ”とわしに言ってな、わしは急いでその蛇の頭を何度も何度も叩きつけた、それで…」

その蛇がどうなったのか、この続きはどうしても思い出せません。ただ酷く私には恐ろしいと感じました。何故かこの昔話は、昔話として私の中で処理できなかったのです。

翌朝、祖父はそんな話を私にしたことなど覚えていないようでした。

「車に酔ったか?」

「ううん、違うの」

自宅への帰りの車の中、私の様子がおかしいと感づいた父が声をかけてくれました。きっとその時の私は顔が青ざめていたのでしょう。

「おじいちゃんから蛇の話を聞いて」

私は意を決して父に、昨夜聞いた話のすべてを伝えました。助手席に座っていた母が驚いた様子で私の話を聞いていたところ、おそらく初耳だったのでしょう。

「ねえ、お父さん。なんで私は蛇に近付いちゃいけないの?」
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コメント(1)
  • 凄い話…
    蛇って何か神秘的なものがあるのでしょうね

    2021/12/06/23:25

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