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不思議体験

徹さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

一緒にお祭りに行きたかった
短編 2021/12/05 02:03 1,210view

少し離れた町にいる友人からお祭りのお誘いを受けて、その日は夕方の薄暗い時間に原付バイクに乗ってその町まで向かっていました。

いつも走る国道は夕方の渋滞で進まなくなるので、めったに通ることのない山に囲まれた道を選んで進んでいきました。
走っていると、そこの地名の看板が目に入り、その時にいつ誰から聞いたのか覚えていないのに、ふとある事を思い出したのです。

「昔、沼地だったこの土地は水害がひどく子供を人柱にうめて土地を沈めたことからこの地名がついたんだよ」

あれ、誰から聞いたかな?と考えると同時に何か怖さがこみあげてきました。

早く山を抜けようと何気なく街頭も少ない山の流れる景色に目を向けると、木々の隙間に小さな木の祠が見えたんです。
暗い山の中なのに黒っぽい木でできた、扉の開いた小さな祠がしっかりと目に入ってきました。

祠だ・・、と思うと同時くらいに私の肩に何かがドンと両手を乗せて体重をかけ、押し込んでくる感じがしました。
その勢いは一瞬姿勢が崩れるほどで、バイクのハンドルを離しそうになりましたがスロットルを目いっぱい回しそのまま「それ」から逃げようと血の気が引きながら走りました。

あの祠を見ちゃいけない、後ろを見ちゃいけない、横も見ちゃいけない、少し先の道路だけを見て原付バイクを走らせました。
友人のもとへ着いたときには冷や汗で酷いことになっていて、帰りは友人に送ってもらい国道から帰宅し、その日はそのまま眠ってしまいました。

次の日は体調がすぐれず学校を欠席して家に一人でぼーっと休んでいました。
ふと、昨日のあの祠って・・と思い出したのです。

すると再び私の肩に何かがドンと押さえつける同じ感覚がきたのです。
そのまま私は息が苦しく歩くことができなくなり、なんとか家族に電話をして担がれて病院にいきました。

色々な検査をしましたが原因は不明でした。

そのあとに歩くことが困難になり家族に連れられお祓いにも行きました。幸い今では歩行はできるようになったのですが、あの道はあれから二度と通っていません。
しかし今では、犠牲になった子供たちが本当にいるのならば、一緒にお祭りに行きたかったのかなと思うことにしています。

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