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不思議体験

岩海苔さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

好かれる介護職員が施設を去ると災いが起きる
短編 2021/11/29 15:33 1,145view

 かれこれ20年介護職に携わっている者ですが、この業界、何気に人の最後に立ち会う機会が普通の人よりありまして、おのずと不思議な体験に遭遇する事が結構あります。

施設としてある一定の条件を満たしていれば、様態が急変しても入居者本人や家族が病院に搬送する事を望まない、施設内で「最期を看取る」事も最近は増えています。介護職員としては気が重い業務ですが、事業所は看取り加算が取れる事もあってそれを売りにしているところもあるほどです。

 私もここ数年で実際に5名ほど看取りの現場に立ち会いましたが、いずれも夜勤中の出来事でした。夜中であっても、ご臨終の際はご家族がいらしたり、エンゼルケアをしたり、死亡診断のためにお医者さんが駆け付けたりと、慌ただしく過ぎるので、特に何も感じませんが、問題なのは次の夜勤です。

私個人は霊感はないと思っていますが、同僚の中にはユニット入口の扉の上の箇所、天井近くの部分に顔だけ張り付いているのを見たとか、二階建ての天井から人が歩く足音がするのを聞いたとか、その手の話はありふれています。

慣れてくると「ああ、誰それさんだね」「挨拶にきたのかな」とほぼ日常会話レベルの話題になります。

 私の場合は、看取りに立ち会った次の夜勤で空気が纏わり付くのを感じる程度ですが、日々業務を淡々とこなしている私には、入居者さんも思入れがないのでしょう。それでも異様な空気は感じるのです。個人的には「挨拶」もご勘弁願いたい。

 これが優しく献身的に業務を行っていた介護職員の場合、見たり聞いたりする確率が上がるようです。

 さらに問題なのはその介護職員がなんらかの事情によりその施設を去った後。その手のモノは人に憑くのではなく場所に憑くのでしょうか、結構災いが起きたりします。

 もう5年以上前になりますが、私が経験した中で一番酷かったのは、その介護職員(リーダー職でした)が辞めた一週間後、その職員に意地悪をしていた(それが原因で退職したらしい)相談員が自宅の台所で倒れて急死。別職員は体調を崩して休職。また別の職員は通勤途中に交通事故を起こし、さらに施設でノロウィルスが発生しと、立て続けに不幸に見舞われた事がありました。

介護職員が辞めたのが10月末、ノロウィルスが出たのが12月中旬くらいでしたから、2カ月ほどでの出来事でした。とある職員の一言。「これって祟られているよね」

ここまで酷くはありませんが、同じようなことは何回か経験しています。

「この人がいるから我慢しよう」「この人がやってくれているから目を瞑ろう」

何も問題が起きないのは、それなりに理由があるわけで、その理由がなくなれば、恨みや報復は当然なのかもしれません。あの世の世界でも人間は変わらないのかもしれませんね。

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コメント(1)
  • 何も問題が起きないのにはそれなりの理由があるって面白いですね
    祟りとかって身の回りに普通にあるのかも

    2021/11/29/15:42

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