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心霊

シンディさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

『おぎゃあ』
短編 2021/11/27 16:12 1,011view

 数年前、私の夫がビル管理の仕事をしていた頃に聞いた話です。
 
 夜間の警備をしているSさんと言う40代のおじさんが、いつものようにビル内の巡回に行きました。
 毎晩2時間おきに鍵が空いてないかなど異常が無いかを確認するため、ビルの全ての部屋を確認していたのですが、ある部屋の前を通った時に何かが聞こえました。
その部屋はそのビルに唯一ある授乳室で、音は部屋の中から聞こえるようでした。
耳を澄ますと、赤ちゃんの小さな泣き声のようなものが聞こえました。
確認しない訳にも行かなかったSさんは、鍵を開けて中の様子を確認することにしました。

 部屋の中に入ると自動センサーで照明が点滅しましたが、同時に聞こえていた泣き声は消えてしまいました。
改めて部屋の中の様子を確認してみると、おもちゃの中に赤ちゃんが泣き声を上げて動くおもちゃの人形がありました。
「ああ、何かのはずみでこのオモチャが動いてしまったんだな。」と考えたSさんは、人形の裏にあるスイッチを切って、部屋を出ました。
 ですが、部屋を出たと同時にまた人形の動くような音と赤ちゃんの泣き声が聞こえ始めました。
まだ鍵も掛けていなかったので、すぐに部屋の中へ確認に戻ると、人形が動きながら泣き声をあげていました。
「スイッチを切り損ねたか、壊れているのかな?」と考えたSさん。
次の巡回は別の警備員が担当するため、その時まで動き続けられても紛らわしいと思い、今晩だけでも動かないように電池を抜くことにしました。

幸い簡単に電池は外せたため、そのまま部屋を後にしようと扉を開けました。
すると、耳元で

『おぎゃあ』

と人形の声が聞こえました。

そこからどうやって警備員室まで戻ったかよく覚えていないとSさんは語っています。

実はこのビルは鬱になった従業員が何人か自殺をしており、夫が配属される前の年にも従業員が授乳室のあるフロアのトイレのドアノブで首吊り自殺をしていたそうです。
その人には、まだ産まれたばかりのお子さんがいたという噂もありますが、詳細は伏せられているためわかりません。

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