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せんべいさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

霊感の証明
短編 2021/11/26 09:57 2,690view

私の幼少期の話です。
当時住んでいた家が都内でも有名なとある霊園の近くでもあったせいか、もう意識がある頃には、家にも外にも「人間と、人間ではない人」がいると認識していました。
その頃にはわからなかった言葉、「霊感」です。

しかし、家族にどれだけ説明してもわかってもらえず、兄と姉には嘘つき呼ばわりされ、母は黙って笑って聞いているだけでした。
私は、母が自分を信じてくれていると信じていたのでした。

しかしある夜、喉が渇いて目が覚めた時、母が小さな声で親戚と電話していました。
隠れて立ち聞きしていたら、母は「あの子は頭おかしいことばかり言う。精神病院にどう言って連れて行こうか」という相談をしていました。

ショックで、泣き声を抑えられず、母に見つかってしまいました。

どうやって私が嘘つきでないことを証明できるか、子どもなりに一生懸命考えました。
私の子ども時代は今より心霊番組が多く存在していました。
そして思い付いたのです。生放送で、当時有名だった霊能力者宜保愛子さんの番組が放映されることがテレビの番宣でわかりました。

私は、テレビ越しでもある程度霊が見えていたので、家族に「この生放送を一緒に見て! そしたら、宜保愛子さんが『ここにいる』という前に私がその霊がどんなのか説明するから」と伝え、一緒に見ました。

たまに先に言われてしまうこともありますが、私の言った特徴と宜保愛子さんの言ったことが次々一致するので、家族は黙り込みました。
そして番組が終わった後に、兄や姉は謝ってきて、母はすぐに親戚に電話していました。

「この子は本物だった」と。

後から聞いた話ですが、元々母の姉弟は皆、比叡山のふもとで生まれており、僧侶や霊能力者が実は近くに沢山いた、ということを、母もその親戚に知らされたそうです。
だから、私のことも本物ではないのだろうか、そんな小さな子が家族の信用を失ってまでも主張するような嘘ではないはず、と思っていたそうです。

その後、特に霊感があって得したことは何もありません。
ただ、一度だけ姉の生き霊を見たことがあります。泣きそうな顔で、部屋中を探しているような素振りで、とあるタンスの引き出しを指を指して、消えてしまいました。
姉の帰宅後それを伝えると、ハッと顔色を変え、その引き出しをひっくり返し始めました。するとそこからずっと探していた大事な指輪が見つかったそうです。
その指輪をなくしたことを誰にも話していなかったそうで、これから霊能者というより、探し物探知機だね、と言われましたが、その後二度とそのような出来事はありませんでした。
今は能力はほぼなくなりました。ホッとしています。

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