俺は誰？

小学生の頃、町で迷子になった時の話。

今でこそ治ってはいるが、子供の頃の俺は方向音痴ですぐに迷子になる奴だった。

まっすぐいけば目的地にすぐ到着するというのに、こちらの方が近道に違いない、ショートカットだと思ってそちらに行くと全然違う場所に行ってしまい、遊ぶ約束をしていた友人達を待たせまくってよく怒られていた。

まあ、怒られて治るなら方向音痴なんてこの世にはいない。
最初のうちは怒っていた友人達も、慣れてきてからは俺を誘う時は、誰かが一緒に付いてくるようになった。

で、だ。
俺を遊びに誘う時一緒に付いてくるようになった友人達だが、その日は日直の仕事が残ってるだとか、委員会の仕事があるとかで全員に用事があり、先に俺一人で公園の遊ぶ場所取りをすることになっちまった。

俺たちがよく遊んでいた公園は学校から徒歩数分ぐらいで、他の生徒達からも人気で早く行かないと遊ぶスペースが無くなっちまう。

まあいくら方向音痴だとは言え、毎日のように行ってる近所の公園だ、迷うわけがねぇとダッシュで行ったら迷子になった。
これは久しぶりに友人達に怒られるなーと思い、一時間ぐらいたって公園に着いて、友人達にごめん迷子になってたわと謝ったんだよ。

すると友人達は困惑し始めた。
いやいや、お前この場所取ってたし、今さっき用事があるって行って帰ったばかりだろ、と。

そんな訳が無い。
俺は間違いなく迷子になっていたし、今到着したばかりだ。
今までここにいた俺は誰だったんだ？