産業廃棄物に混じっていたスマートフォン

産業廃棄物の処理会社に勤めている仲間から聞いた話である。

産業廃棄物と言っても色んな分類のゴミがある。
担当のゴミは一般家庭から捨てられパッカー車で回収されたプラスチックゴミである。
それを再利用リサイクルできるようにプラスチック以外の物が混じっていたら選別ではねるのである。
仕事で選別をしていると沢山の驚くような物が混じっている。

そんなある日プラスチックゴミの中から綺麗なアイフォンが出てきた。
電源を入れると通常稼働して使えるが通信機能など停止されているようだ。
傷も汚れもついておらずただ型が古いというだけで捨てられた印象。
電話帳や写真などのデータは一切残っていなかった。
勿体無いので家に持ち帰りWi-Fiに繋げて使うことにした。
充電ケーブルコンセントもたくさんゴミの中から出てくるので使えそうな物を持ち帰った。

家に持ち帰り軽く磨いて多少の汚れを落とすと全くゴミとは思えない商品に見えた。
離れた部屋に置いておけばネットを見るのに楽だと思って置いておく事にした。

その日の夜中に不意にトイレで目が覚める。
平屋の広い家に自分一人しか住んでおらず実に寂しいものだ。
長い廊下を歩いてトイレへ向かうと誰も居ない部屋が明るくなっている。
おかしいと思い部屋に入ると昼間拾ってきたスマホが点灯しているのだ。
やっぱり壊れていて接触不良かと思って電源ボタンを押して消灯させた。
不意に誰も居ないはずの部屋で一瞬誰かが後ろにいるような気配がした。
何事も無かった様にトイレへ行き要を済ませて寝た。

それから数日たった夜中にトイレで目が覚める。
そこでまた別の部屋がやや明るくなっていることに気づく。

部屋に入るとまた壊れたスマホが点灯していたのだ。
電源ボタンを押し再び消灯させたがそう言えば前回とほぼ同じ時間帯だ。
アラーム設定がしてあるわけでもなく接触不良だろう。
壊れて使えないなら中古ショップに売れば良い。
すると突然バイブレーションと共に再びスマートフォンが点灯した。
ややびっくりして画面を確認すると当然電話でもメールでも無く
何にもない通常待ち受け画面が表示しているだけだ。
だが少しおかしい事に気がついた。
スマートフォンのガラス面にやや反射して自分の姿が映っているのだが
そのすぐ真後ろの上から髪をたれ下げた女が見下ろしているのだ。
すぐさまに後ろを振り向くと顔面蒼白の女が口を開け飛び込んできた。
それと同時に再びバイブレーションが振動して画面が消え辺りが暗くなった。