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心霊

urchinさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

山奥から聴こえる唄声と汲取式の便所
短編 2021/10/24 20:23 936view

 私は昔、田舎に住んでいました。そこの村には、不思議なことがよく起こることで有名な山があったのです。

 そこの近くの民宿に、親子連れの旅行者が やってきました。

 父と母、子供が2人。両親は30代後半で、子供のほうは上の子が6歳、下の子が4歳。夏休みを利用しての宿泊でした。

 昼からの利用で、ちょうど料亭のほうで昼食を終えた頃のことでした。下の子が、窓のほうをじっと見つめていたのです。ですが、窓の外は山の壁側で、そこには何もないはずなのです。

 両親は訳を訪ねると、下の子は、歌が聴こえると言いました。しかし、歌は全く聴こえていません。不思議に思うと、今度は上の子が同じように言い始めました。山のほうから歌が聴こえる、と。またまた不思議には思った両親でした。

 時間は流れ、夕方に山の麓へ遊びに行きました。そこで、目を離した隙に子供たちが山の奥へと行ってしまったのです。

 慌てた両親は、一目散に山奥へと向かいました。そこには古びた建物があり、しかし子供たちの姿は見あたりません。

 仕方なく建物の中に入ってみると、建物の便所と思われる位置に、子供たちがじっと立ち尽くしていました。

 そこでかすかに、両親にも歌が聴こえたのです。歌は、昔のくみ取り式の便所の中から聴こえるようです。中を覗いた両親は、叫び声があげてしまいました。そこには、白骨があったのです。

 後日談ですが、くみ取り式の便所には、どこにも進入経路もなく、また人が入れる大きさではなかったということです。

 その建物は、昔は民宿として使われていて、三味線奏者だった民宿の女将さんが行方不明になっていた、ということです。

 白骨は相当古く、女将さんかどうかは、当時の捜査ではわからなかったそうです。

 くみ取り式の便所はもうほとんどないですが、もし使うことがあれば、覗いてみるといいかもしれません。

 あの世と繋がっているかもしれません。

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