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まきあさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

駅に居た女の人の話
短編 2020/12/25 06:43 3,076view
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私自身には霊感というものがてんでないけれど、SNSで知り合ったその人はいわゆる視える体質なのだそう。ただ生きた人間と幽霊の区別がつかないらしく、それを知ったときの出来事を書こうと思う。

その人(以下Kさん)は高校時代電車通学をしてたんだけど、その路線がかなり田舎のローカル線で、それこそ一時間に一本あるかないかレベル。駅も無人でその駅を同じ時間に利用する人もほとんど居なかった。
その日、帰りの電車から降りてたら待合室(改札の隣にベンチが一個あるだけ)にそれほど美人ではないけど可愛い感じの服着てる胸がデカい女の人が居た。Kさんは待ち合わせかなーと思いながら通りすぎた。目が合ったから一応会釈したらしい。
で、次の日も同じ人が居たんだよ。昨日とは違う服着て。また会釈して通り過ぎる。
次の日も居た。結論から言うと二週間くらい居た。一回乳首見えるんじゃないってくらいかなり際どい服着てたしたぶん毎日違う服着てた。二週間くらい経ったある日、その女の人がKさんに話しかけてきた。おっさんの写真見せて、「この人知りませんか?」って。Kさんはその時パッと思い出せはしなかったけど、次の日に電車内で写真のおっさんを見つけた。よく同じ時間の電車に乗ってる人だ。Kさんはそのことを女の人に伝えた。
「この人、よく同じ電車に乗りますよ」
「やっぱりそう? どの駅で降りるか知ってる?」

「たぶん一個前の駅だったと思います」
「えー、こっちの方が家近いのに」
「健康の為に自転車使ってるのかもですね」
「そうかもね。ありがとう」
この時は気付かなかったが、どうして女の人がおっさんの家を知ってるのだろう。おっさんに会いたいなら家に行けば良いのに。もっともKさんは深く聞かなかったが。
その話しかけられた翌日から、女の人を見ることはなくなった。数日しておっさんも電車で見なくなった。すごく久々(二三ヶ月ぶりくらい)に見かけてKさんは思わず声をかけた。女の人との関係が気になったのもあるが、なんかすごく落ち着きがなかったから。
「すみません、前はよく電車乗ってましたよね?」

「え、あぁ……最近は車で通勤するようになって」
「理由とかあるんですか?」
「いや……駅を通ると気持ち悪くなることが多くて……仕事にも支障が出そうだったから」
「胸の大きな可愛い感じの女の人って知ってます?」
「それだけじゃ何とも……もう少し特徴とかないとわからない」
それもそうかと女の人の件は諦めた。興味が尽きないKさんはひとつ前の駅でおっさんの後ろについて降りた。改札を出るとあの女の人がものすごい怖い顔をして立っていた。さすがのKさんも人間じゃない! って思ったらしい。女の人はおっさんにぴっちりくっついてぶつぶつ言いながら歩いて行った。
ちなみにKさんは寝過ごしたと思って慌てて降りたらひとつ前の駅だったと言い訳して親に迎えに来てもらったそうだ。
Kさんは他の人にもこのことを話していて、有識者(神社の巫女やってる人)によると「女の人はそのおっさんに恨みがあるんだと思う。毎日違う服着てるあたり生き霊かな。そんなに強くないから家に入れなくて道すがら呪ってるんだと思う」とのことらしい。
Kさんはこの出来事があって一時期初めて会った人が人間なのかそうじゃないのか疑心暗鬼になって病んだ。今は割り切って誰にでも普通に接してるけど有識者(巫女さん)には「それで気に入られて連れ帰ったらどうするの!」と叱られている。以上、おわり。

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