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ヤングマンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

妖精の出る夜のトンネル
短編 2020/12/24 21:35 1,746view
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私の地元には長いトンネルがあります。そこには、ある噂がありました。
トンネルの中に妖精が出るというのです。

トンネルは無機質な普通のトンネルで、ライトが等間隔に並んでいて、なんの変哲もありません。
けれども、一か所だけ確かに、小さな人間のように見えるシミがあります。

私は、ある時、その噂を確かめるために、真夜中にトンネルへ行ってみたことがあります。
車をトンネルの出入り口の横にある空き地に停め、徒歩でトンネルへと入っていきます。
ライトがあるとはいえ暗く、たまに通る車の音にも驚いて、振り返ってしまいます。

トンネルは二キロほどあり、人型のシミは中ほどにあります。
その場所まで来ると、確かに子供サイズのシミがあって、片手を高く上げて、誰かに天へと連れてって欲しいかのような姿勢をしています。

私は写真を撮影しました。そのとき、車が通る大きな音がしました。
しかし、車は通りません。音だけが私の背後を駆け抜けていったのです。
いまの音は何だったのだろう? 
私が壁のシミに目を向けなおすと、そこからは、シミが無くなっていました。
ただのコンクリートの壁になっていました。

小さな子供の高い声が聞こえました。トンネルの中に笑い声がこだましています。
車のタイヤが走るような低い音が聞こえています。
私は怖くなって、来た道を引き返すことにしました。

すると、前方に小さな人影が歩いています。ゆっくりゆっくりと、私の向かう方向へ先回りするかのように、進んでいます。あれに追いついてしまったら、きっと悪いことが起こる。
私は小さな人影に追いつかないように、ゆっくりと歩きました。人影の歩みは遅く、トンネルから永遠に出られないのではないかと思いました。

真夜中のトンネルで、出口を塞がれたような状態のまま進む恐怖に震えはじめたころ、ようやく出口が見えてきます。すると人影は、出口のところで片手を高く上げると、そのまま天へと浮かび、空中ですっと消えてしまいました。私は必死に走って車まで辿りつき、猛スピードで家に帰りました。
家に帰って写真を見てみると、人型のシミはうつっていません。ブラックアウトした写真の片隅に、子供が笑っているような白いボケた影だけが映っていました。

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