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心霊

Aiさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

深夜のドライブで遭遇した奇妙なバイク音
短編 2020/12/24 23:32 1,695view
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それはまだ大学生の時。暇を持て余していた夏の夜、男友達と二人でドライブにでも行こうかと大阪と和歌山の間にある犬鳴山へ行くことに。

犬鳴山は温泉もありハイキングコースとしても知られる一方、修験道の霊場として改ざんされた歴史があり、犬鳴山トンネルというトンネルが心霊スポットとして知られていました。

ちょうど夏で少し肝試し的な気分もあって途中まではノリノリでしたが、私は霊感が一切なくなんと夜道のドライブと夏の雰囲気を楽しんでいました。

時間帯は深夜。私たちが乗る車以外に一切対向車や後続車などは見当たりません。
泉佐野市方面から向かい40分くらいでトンネルに到着するのですが、あと少し進めばトンネルかなという地点で一度外の空気を吸おうと車の窓を開けました。そしたら流れ込んできた外気はなんだか生暖かくて生臭い匂い。
なんというか獣臭的な匂いに不快感と不気味さを感じ、結局トンネルには入らずUターンできるポイントを見つけてきた道を戻ることに。

「結構ヘタレだね、私たち」とか笑いながら来た道を戻っていると、後ろからブーンというバイクのエンジン音が聞こえるので、こんな夜中にツーリングの人もいるのか?まさか暴走族?いや、1台だけの音だし変わったライダーもいるものだと思いました。

男友達も「山道で飛ばすと危ないし後ろのバイク先に行かせよう」とスピードを落としてゆっくり走っていたのですが、一向にバイクが追い抜くこともなく、バイクのライトも見えず、しかし音は一定の距離感でずっと聞こえています。

おかしいなと感じ始めた時、「来ないねー」と一瞬私のいる助手席に目をやった男友達の顔から笑顔が消えて私に「ちゃんと前見ておけよ」とひと言。

そこそこスピードを上げて山を降りるまで彼はほぼ無言で、そんな関係でもないのに運転中に時々私の手を握って「前見といてよ」と。
口説くにしては下手くそだなと笑いながらも真剣な様子に前だけ見ていた私。
ようやく明るい市街地に出て、車をファミレスの昼夜状に止めた彼が言いました。
「怖がらせたくないと思って黙ってたけど、ふと私の方を見たときに助手席側の窓に笑った女性が車と同じスピードではりついてしばらくこっちを見ていた」と。
時々手を握ったのは、私が連れて行かれないようにするためだったとも。

帰り道で助手席側はガードレールの向こうが崖という状態になるので、人がいるはずもなく、車のスピードについてこられるはずもなく。

そしてずっと聞こえていたバイクの音は山を出た時点では消えていました。もちろんその間実際にバイクは目にすることもありませんでした。

それきり特に後日談などはないのですが、霊山と呼ばれる山に面白半分で行くものではないなと感じ、それ以来肝試し的なことはしていません。

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