起こしてくれた見廻り幽霊

これは、私が高校生の時の話です。当時、私が通う高校では、様々な幽霊に関する噂がありました。開かずの扉の中に隠れた階段があるとか、職員トイレに女の幽霊が出るとか、幽霊が授業の見廻りをしているとか、本当にいろいろな噂です。しかし、私が実際に見たことがあるというわけではなかっので、正直、学校に幽霊がいるということを信じてはいませんでした。

そんなある日、私は朝から疲れていて眠気が凄く、授業中なのにウトウトと寝てしまっていました。幸い私の席は、1番後ろだったので、先生や周りの生徒にもバレることなく、よく授業中に寝てしまうことがあったのです。その日もいつものように、ウトウトと寝ていると、後ろからトントンと強めに肩を叩かれました。
私はビックリして、後ろを振り返りましたが誰もいません。気のせいかと思いましたが、確かに強めに肩を叩かれたのです。ですが、私の席が1番後ろなので、後ろに人がいるわけもありません。慌てて、隣の席の子も見ましたが、みんな真剣に授業を聞いている模様です。休み時間になり、私は隣の子に「さっき私の肩を叩いてくれた？」と聞きましたが、全く分からない様子でした。友達に聞いても、寝ぼけてるんじゃないといって誰も相手にしてくれません。

私は途端に怖くなり、霊感の強いクラスメイトにこのことを話しました。すると、彼女は恐ろしいことを言ったのです。

「確かにさっき、授業の見廻り幽霊がうちのクラスにも来てたよ。あれって、先生の幽霊じゃないのかな？」

つまり、先生の幽霊が私の居眠りを心配して、起こしてくれたんだろうと言うのです。その子が言うには、その幽霊はそこまで怖い幽霊ではないけど、もっと怖いのもこの学校にはウジャウジャいるから気をつけなね。とアドバイスしてくれました。すっかりビビった私は、それ以来、授業中にもちょっとした緊張感が残り、居眠りすることが激減しました。