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心霊

オンネトーさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

“アンの家”の女の子のタカラモノ
短編 2021/10/10 19:13 1,451view

私は昔、北海道の山奥にある宿泊施設でアルバイトをしていた。
そこの宿泊施設は、50年ほど前まで観光客で溢れかえっていたテーマパークの跡地を改造してできた宿泊施設であった。

私の担当していたキッチン係は、昔、“アンの家”と呼ばれていた場所を当時のまま使い、宿泊者の食事を調理していた。
そこでは、働いている人のなかで密かな噂が流れていた。私も配属されたその日に同じアルバイトの子から聞いたのだが、「夕方になると金髪の女の子が表れる」という噂であった。確かに、その建物は廃墟に近いような雰囲気はあったが、まさか幽霊が現れることはないだろうと思っていた。私自身、心霊現象や怪奇現象などは信じないタイプであったからである。

ある日の夕方、私はいつものようにお皿洗いをしていた。その日は忙しく、しかも珍しく1人であった。すると、なにか視界に入った気がした。この建物には一人しかいないので、気のせいだろうとお皿洗いを続けていたが、どうしても気配がし、視線を横に移した。すると、噂の金髪の三つ編みの女の子が立っていたのだ。初めて幽霊を見たため、私は驚いて腰を抜かし、お皿を割ってしまった。すると、びっくりしたのかその女の子はいつも間にか姿を消していた。それと同時に、私はその女の子に違和感を覚えた。なぜか、頭を押さえ、私に何かを訴えているように見えたからだ。

その夜、私は夕方にあった出来事をオーナーにすべて話した。最初は笑いながら、面白がって私の話を聞いていた。しかし、その女の子の特徴を話すと、突然オーナーの笑いが止まった。「それは本当か」とオーナーは私に尋ねた。「はい、この目で見ました。間違いありません。」すると、オーナーはこう言った。
「その子の名前はたぶん“アン”だ。昔、私の祖父が可愛がっていた近所の女の子だ。でも、その子は突然姿を消してしまったんだ。」と。
そう、私が見た女の子の名前は「アンの家」の主人公のアンだった。

オーナーの話によると、昔、アンは夕方になると麦わら帽子を被り、オーナーの祖父とお散歩をするのが日課であったそうだ。しかし、宿泊施設のopenとともに、アンの家からアンの大切にしていた麦わら帽子を違う場所に持ってきてしまったことに、アンが怒り、幽霊として現れたのではないかということだった。

翌日、アンの大切にしていた麦わら帽子を、元あったアンの家に戻した。それ以降、必ず夕方になると現れると噂のあった金髪の女の子は現れなくなった。

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