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不思議体験

怪人20号さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

林道で出会った意味がわからない存在
短編 2021/10/10 18:50 2,537view

奈良県に住んでいた独身時代、趣味が猛禽類探し、観察でした。特にクマタカ、イヌワシに憧れて会社休みの毎週土・日曜日に奈良県の山奥に単独で猛禽類を探しに行っていたころの話です。

毎日、地図をみてはこの山に行きたい、この林道を歩いてみたいと思いを馳せていました。

朝早く出発しても、目的地である現地に着いた頃は、お昼前。
林道の広そうな場所まで車で登り、そこに駐車して歩き始めるのが私のスタイルです。

山の斜面とその反対側は急な谷間になっている林道を車を置いて半時間ほど歩くと人の声が。丁度、昼頃で伐採された斜面に人影が、声もするのでその方向へ行ってみると、林業を生計にしているおばちゃん、おじいさん、中には若いお兄さんも、皆さんでお昼ご飯だったようです。

「こんにちわ」と挨拶するとその人達も挨拶をしてくれ、「県の人かね」「県の調査かな」などなど尋ねられたのですが、いいえ、違います。趣味で猛禽類の観察、探しにやって来ましたと答える。こんな山奥にご苦労さんって皆さんが関心を示してくれました。

挨拶が終わり、林業のことについて少し教えてもらい、その場を後にして、目的地の山の斜面が見える場所に林道を再び歩き出す。
もちろん、今日初めて会った人達です。林道では誰にも会ってません。大概、そうですが。そこが今日の目的地でそこで昼飯の予定。

歩き始めて、半時間ぐらい、何か僕の後方で気配がするので、振り向いてみたら、そこにおじいさんとおばあさんが歩いているではないですか。あれ、待てよ、今までここまで歩いて来たが、人の気配などなかったなと。僕は挨拶をしましたが、返事はかえってこない。まあええかと。

おじいさんとおばあさんが僕を抜く、さらに僕がおじいさんとおばあさんを抜く、しばらくすると、後方でガサガサ、ゴソゴソと音がするのでその方向へ振り向き、目をやるとタヌキのような動物が谷間の方向へ身を隠しながら下りているではありませんか。

ほんの短い時間でしたが、確かにタヌキのような動物、あれ、今まで後方を歩いていたおじいさんとおばあさんが居ない。
何で?とその場はあまり不思議に思わなく、とりあえず目的地で昼ご飯。
目の前の斜面を見ていると人の影、熊ではない人の影。しかも自転車を背負っている。え、何が起こった、林道を自転車で走り、山の斜面を背負って降りてくる人、しばらくすると、僕の目の前に。
逃げるように帰りました。

その時は不思議には思わなかったのですが、夜、寝る前に今日の出来事が頭に蘇ってきて、あのおじさんとあばあさん、あんなところに居るわけない、歩くわけない、そして、振り返るとタヌキが逃げる、山の斜面に自転車を背負った人が居る…?
自問自答を繰り返していたら体中から汗が噴出してきて、震えが止まらない。
かなり昔の話ですが、今でも不思議な一日として覚えています。

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関連タグ: #声#奈良#山
コメント(2)
  • 化かされた?

    2021/10/11/08:43
  • おじいちゃんとおばあちゃんは狸。
    自転車はオブローダーかガチ勢の変態。

    2021/11/05/19:00

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