同じ顔を持った人間

これは僕がまだ大学生だった時の話です。

ある日、同じ大学の友人から近くのパチンコ屋で働いているのかと訊ねられました。
しかし、その当時バイトをしていたわけではないので、ただの人違い程度にしか思っていませんでした。

それから数か月経ち、今度は別の友人から僕を旅行先で見かけたというのです。
もちろん旅行へはここ何年も行っていないし、これも全く身に覚えのない出来事なのです。

そこまで自分ってありふれた顔なのかな、と疑問に思っていたのですが、大学生になるまでそんな体験はしたことがありません。

二度あることは三度あると言いますが、今度は都内の飲食店で僕を見かけたという情報が飛び出しました。
東京なんて高校生のとき以来行ってないし、これも間違いなく僕ではありません。

さすがにこの辺から恐怖を感じるようになりました。

生き別れの双子が何人かいるのか、またはコピーされたクローン人間がいるのか、など頭に変な妄想が巡りだしました。

そんな中、こんな話をふと思い出しました。
世の中には自分と同じ顔をした人間が三名ほど存在しており、その人に絶対に出会ってはいけないという話。
なぜなら、その同じ顔の人間に出会うと命を落とすという都市伝説があるからです。
その話を聞いたときは面白半分で聞いていたのですが、今は身近に感じられ、とても怖いです。

幸い、同じ顔の人間にまだ出会っていません。
でも僕の目撃情報が何度か上がっているということは、出会ってしまうのも時間の問題かもしれません。
もしかしたら、同じ顔を持った人間、全員が同じように恐怖を感じているかもしれませんね。