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FBSさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

山姥が住んでいたと伝えられている山でリアル山姥?
短編 2021/09/26 17:01 1,728view
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私が単独で登山をしていた時、そこで出会った年配のおじいちゃんから聞いた話である。

そのおじいちゃんは百名山を多数登るなど全国規模で登山をしている方らしい。
以前に、県外のある地方でそれほど有名な山ではないが、地元では昔に山姥が住んでいたと伝えられている山を登ったことがあるそうな。

おじいちゃんは年齢で体力が衰えペースが落ちてきていることもあり、その山で一泊するのを醍醐味としている登山スタイルだった。
山姥が住んでいると伝えられている山を登る際もテントで一泊する計画である。

登る前に地元の登山パーティと会った際に、その中の話好きそうなベテラン調の男性が山姥について「昔、この山に山姥が住んでいたが今は勿論いない。けれど、今までこの山で泊まって寝ている夢枕に山姥が出てきて、霧で迷っている自分を案内してくれる。それには絶対ついて行っちゃダメ。今まで何人もおんなじ夢を見て、遭難して行方不明や事故にあって帰ってこれなくなった人が何人もいるけど、山姥について行ったのかもしれん、気をつけれ。」
それを聞いたおじいちゃんは昔からどこにでもある山話だと思った。
感謝を伝え単独で登山を始めて順調に登りきった。

山頂から少し降りた場所にちょうどよい広場があり、そこでテントを張って夕食をとる。

お酒を飲んで星をみようとすると外はいつの間にか霧に包まれており、小便だけしてテントで寝ることにした。
確かにこの山は霧が出やすいのかもしれないなと思ったそうだ。

消灯して横になって寝ていると、それが現実なのか夢なのかあやふやな金縛りのような状態になり、そこから老婆が出てきた。
周りは霧一面。
気が付くと自分がどこにいるかわからない。
老婆はにこりとして手を差し伸べて、案内しようと近づいてくる。
おじいちゃんは不意に登る際に教えてもらった事を思い出し、目いっぱいの腹力で生命力を込めて「喝ーーーーーーっ!!」と叫んだそうな。
すると老婆は一瞬驚き、その後霧の中へ立ち去って行った。

気がつくと朝になっており、テントを開けるとちょうど青空の朝日がはっきりとこちらを照らしていたそうな。

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