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不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

登山遠足で
短編 2021/09/17 23:49 3,133view
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10数年前の話だが、中学校の遠足でR山へ登山遠足に行った時の話だ。

現地の集合場所に生徒が集まって時間になると、遠足についての説明が始まった。

あらかじめ決めてあった5~6人のグループごとに、登山道の入り口の横にある小さな神社でお参りをしてから登山する、というルールだ。

いよいよ僕のグループの番になり、神社の前に5人で並んだ。

グループの一人、Aが誰かの落とし物にでも気が付いたのか、何かを拾っていたようだったが、後ろがつかえていて特に気にしなかった。

R山はの登山道の途中には一定の間隔で木製の標識があり、迷わないように整備されている。

山の上の方にある展望台のちょっとした広場に11時までに登ればいいのだが、9時スタートだとそれほど難しくない。

グループごとに登るといっても、前後の間隔は短いから、常に数グループと一緒に登る事になる。

ところが、気が付くといつのまにか他のグループが見えなくなっていた。なぜか僕たちだけ道に迷ったようだ。

5人だけでしばらく登っていたが、なかなか次の標識が見つからなかった。

ただ、登山道はきれいに整備されているから、行き先はこっちだろう、という事で登山を続けていた。

5人が少し疲れてきたタイミングでBがこう言った。

「なあ、もしかして、俺たち同じ所をただグルグル回ってるだけじゃないか?」

他の4人も同じ事を思ってはいたが、それを認めたくないのか、誰も何も言わなかっただけだ。

登山道の脇には5人がちょうど座れるくらいの切り株があり、そこに座って休憩を取った。

「この切り株の所、さっきも通ったよな?」

Cがそう言うと、買ったばかりの自慢の限定とかいうG-SHOCK見て

「今ちょうど11時だ。ここから急いで登ってもかなりの遅刻だ。そろそろ行かないと。」

「そうだな。」

全員が立ち上がると、今登ってきた登山道から、40歳か50歳くらいだろうか、水筒を一つだけ持っている程度の軽装の男がこちらへと近づいてきた。

「お?何だ、遠足か?迷ったのか。」

「どうもそうみたいなんですよ。」

僕がそう答えると、男は5人をじろじろと見渡して

「…お前たち何か持ってないか?何か拾ったりしてないか?」

と言うから、僕達はお互いに顔を見合わせると、Aが慌てたように

「もしかしてこれ…?」

ポケットから石を出して男に手渡した。

「…ふもとの神社の玉砂利だな。こんな物を拾ったり持って帰ってはいけない。」

男はそう言って石を自分のポケットに入れると、今来た道を戻っていった。

僕たちは何の根拠もないのに、この人に付いて行けば正しいルートに戻れると感じた。

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コメント(2)
  • めっちゃ面白かった!

    2021/09/18/08:53
  • 気に入っていただいてありがとうございます。
    あと、誤字等ありましたので修正しました。
    作者より

    2021/09/18/19:16

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