ある夜の虫の知らせ

ある日の深夜、私は妙な物音で目を覚ましました。
その頃は仕事が忙しくぐったり疲れて毎日熟睡していたので夜中に目覚めるのはすごく珍しかったです。寝ぼけながら時計を見ると時間は夜中の3時ころ。私は2階の部屋で寝ていたのですが、しばらく聞き耳をたてていると、どうやらその音は天井から聞こえているようでした。もちろん上には誰もいません。耳を澄まして聞いてみると男の人の声のようでした。気持ち悪さと疲れでそれからすぐにまた寝てしまい起きると朝になっていました。

朝起きてこの音の事を家族に話してみると、私以外誰もその音を聞いていませんでした。
深夜のことですから誰も聞いていないのは当然ではありましたし、もしかすると寝ぼけてたり夢だったのかと思いながら仕事に行きました。職場でもこの話をしたところ、「それってきっと何かあるんじゃない」と同僚に言われました。私自身、霊的なものには敏感な方ではありませんでしたがその同僚の予想は的中してしまいます。

昼休憩に携帯を見ると父親からメールが入っていました。
その内容は伯父が亡くなったという知らせでした。

伯父はタクシーの運転手をしていました。その日は長距離のお客さんを乗せて夜走っていたそうです。お客さんを降ろした後タクシー会社に戻ってこないので連絡しても繋がらず心配していたそうです。
伯父が発見されたのは、タクシー会社から少し離れたコンビニの駐車場でした。
「タクシーがずっと停車していて、起きるように窓を叩いても起きない」
と警察へ連絡が入り、確認してみると伯父が車内で横たわり、亡くなっていたそうです。死因は心筋梗塞でした。運転中に具合が悪くなりコンビニで少し休憩しているうちに亡くなったのではないかということでした。

警察から事情を聞いていると伯父が亡くなったのは夜中の3時頃だということでした。夜中の3時といえば、私があの声のような音を聞いた時刻です。もしかすると伯父は私に助けを求めていたのかもしれません。助けてあげられなかったことが今でも悔やみきれません。