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呪い・祟り

お江戸さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

都市再開発計画の血塗られた歴史
短編 2021/08/23 23:12 1,691view
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時が流れるのは早いもので、都市再開発計画が始まって15年余りが経つ。私が住む郊外の町は家屋の移動や再建設が進んでいる。私の町には歴史的に誇れる松並木があるのだが、これも再開発の影響を受けることになった。

伐採するのかと、再開発が始まったころ思ったが最終的には松並木の松をすべて少しずらし、移植することにとどまった。

理由は簡単で、それぐらいで道路の幅が確保できるというのが表向きの事情であるが、詳細を知らない人からすれば、伐ればもっと道路の幅が確保できるとお思いのはずである。しかし、それはできないのである。なぜならば、地元の人間なら誰もが知る、松並木の悲劇がそこに、よみがえるのである。

今の開発計画が始まるより、はるか昔、ある世界的に有名なファストフード店など、色々な店が建設される予定地であった。その場所が、その松並木であったのだが、工事中にあるものが見つかった。遺跡か?違う、白骨遺体なのである。それも1人ではなく百人単位だったらしい。その白骨遺体に全て共通することは、首と胴体が別々で見つかったことである。つまり、斬首されたものだとわかったのである。

それを示唆するかのように当時、その近くに消防署が有ったのだが、よく霊のようなものを見やすいと仲間内で評判だった消防隊員が、「所長、夜に落ち武者みたいなのが部屋の隅にいるようなのですが……」と不安を打ち明けていた。

この隊員は最初は仲間に小ばかにされていたが、工事が始まって信用された。

このことを私の祖母が生前、話してくれたことがある。
「松並木の前にある橋があるだろ?それは『なみだばし』といって、罪人と家族が別れる橋のことなんだよ。松並木は罪人の首を並べてたのさ。」

消防署も移転し、祖母はすでに他界したが、その事実があったと誰もが認める理由は、そこに「慰霊碑」が建っていることだろう。

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