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妖怪・風習・伝奇

メイプルさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

河童の伝説が残る土地にて
短編 2021/08/14 19:59 1,515view

昔から地元には河童伝説が残る場所があり、ある時、妖怪好きの当時の彼を連れ、河童が出ると言われる沼に出かけました。

そこには、いたずらな河童がいたというエピソードがきちんと書かれている石碑などがある場所で、ちょっとした観光地になっています。

沼が広がり少し滑りやすい場所であるため、かつては河童の仕業として注意していた場所なのだろう・・・そんな解釈をしながら、観光気分で楽しめた私たち。

別の場所に移動をしてお昼を取ると、彼が「あっちに行ってみよう」とかアレコレ言い出すのです。不思議に思いながらも、時間もあり暇だったので彼の言う通り運転していくとある川につきました。

私も地元でありながら、初めて見る景色で、川辺にはまっすに伸びた古い板が張られただけの小さな橋があったのです。

彼は急にテンションが上がり、その橋を渡ろうと言い動画を回し始めました。

彼が先に行き、橋の真ん中で私を呼ぶのですが、橋を歩くと突風が吹き出しました。その風はとても冷たく、私は何だか嫌だなと感じたのです。

彼は楽しそうに「早く!こっちこっち!」と呼ぶのですが、橋から落ちそうなほど風が強く、歩くのがやっと・・・といった具合だったので、私は彼の声を無視して引き返したのです。

後日、動画を見返していた彼から連絡があり、「河童が映っている」と。
まさかそんなバカなと見返すと、確かに河童のような姿が川辺に何度も映りこんでいたのです。しかし、不鮮明な映像なので、偶然映った何かの影ではと思うことにしました。

友人たちには、ふざけて「河童が撮れた」等と動画を見せびらかし、私の不思議エピソードの定番になっていたのですが、数年後に動画を見返して気づいたのです。

私の足元に突然、水たまりのシミが浮かびあがっていることに。
丁度、橋を引き返したところで、大きな水たまりが浮かぶのです。

彼に伝えると、どうやら知っていたようで「あまりに怖くて言えなかった」と当時を振り返るのでした。そして、あの川に向かった理由も「連れていかれた」と。

足元の水たまりは私を飲み込もうとしていたのでは、そう思うと今でもとても怖いです。

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