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妖怪・言い伝え

マイルさんによる妖怪・言い伝えにまつわる怖い話の投稿です

お盆の夜に行われる謎の儀式と必ず出会う蛇の正体
短編 2021/08/12 22:23 394view
私が生まれ育った九州の田舎での話です。

昔ながらの古い家屋が並び、田舎ならではの古い風習や言い伝えも多く残っている地域でした。

そんな土地で、お盆はとても大切な行事でした。初盆の家には村中の人が訪れます。大人の男たちが、蛇を模したような風変わりなかぶりものを冠して踊り、大人の女たちは鈴を鳴らし、子供たちは覚えさせられた言葉の意味もわからない歌を歌わされました。

お盆の前には仏間も盛大に飾り付けられ、どでかい提灯が玄関前に並びますご先祖様を明るい光でお迎えするためです。お盆にご先祖様が帰ってくると言うのは当然と思って育ちました。

そして、村には豪勢な集団墓地がありました。1件ずつのお墓はとても大きく、いつも大量のお花と御供物がありました。
お盆になる夜にそこへ村人が集まるのがしきたりでした。お盆に帰ってくるご先祖様を直接迎えにいくと聞かされていました。しっかりおぶって帰るんだよ、と冗談なのか本気なのかわからないことを言われて、怖かった思い出があります。

しかし、私の恐怖の思い出は別のことでした。
その時、なぜかいつも蛇が墓地の周りに何匹もいるのです。すごく小さな蛇で、特に威嚇などもせずじっとしていたと思うのですが、蛇は蛇です。怖くてたまりませんでした。数は少ないものの何人か連れてこられていた子供たちは、夜中のお墓と言うだけでも泣きそうなのに、蛇がいてパニックでした。

ところが、普段なら1匹出るだけで大騒ぎしていたはずの蛇に、大人たちは何故かノーリアクションで特段騒ぐことはありませんでした。神妙な顔でお経を聞いていました。私はそれが不思議でたまりませんでした。

その地域の言い伝えによると、「蛇はご先祖様をここまで案内するあの世からの使いの者の化身なので、追い払ったりするのはいけない。お盆に出る蛇は丁重に扱わなければならない」と言った旨のことを教えられました。初盆で踊る時に頭に冠していたのも蛇のようなものなのもそんな理由だそうです。そう言われると、記憶の中の蛇たちは、お墓を囲むようにじっと見守るように佇んでいたように思えてきます。

今では過疎地域で多くの伝統行事が失われてしまい、お盆も様変わりしたようですが、今もお盆になると、蛇とご先祖様と私たちが一緒にいた不思議な空間を思い出します。
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