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心霊

yumyさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

消えた住人の断末魔
短編 2021/08/02 21:16 1,521view
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以前住んでいたアパートは二階建ての4部屋しかない小さなもの。家賃も安くて気に入っていたのですが、住民とは全く顔を合わせることがありませんでした。私は1階に住んでおり、隣も二階も生活音がうるさいなと思っていたのですが、古いアパートだから文句は言えません。

アパートのポストは集合のようになっているので、他の人のポストの状態も分かります。私の上の人は広告などもそのまま放置していて、ぎゅうぎゅうになっている状態なので、たまにポストから手紙が飛び出て落ちていることもあるのですが、その手紙は裁判所や督促状などの怪しいもので大変だなと思っていました。

二階の人は男性二人で住んでいるみたいで、時々喧嘩する声も聞こえてきます。特に夜になると頻繁に喧嘩を始めるのでどたばたとうるさくて、時々、警察を呼んだほうがいいのかなと思うこともあるくらい、ヒートアップしていることもありました。

あまりにうるさいので、大家さんに相談しようかと考えている時、夜中にいつものように喧嘩が始まったと思ったらこの時は格段に大きな怒鳴り声が響いたんです「うるせぇ!」「しねごらぁぁ!」といった声の後にドスン!という大きな物音と男の鈍いうめき声が響き、私は慌てて警察に電話をしました。二階に気がつかれないようにそっと電話をした後も、うめき声が聞こえていて、何度もうろうろするような足音が聞こえます。

数分後、警察が到着したようでホッとしていると、大家さんの声も聞こえてきました。しかしそれは耳を疑う言葉だったんです。「二階には誰も住んでいませんよ」確かにそう言ったんです。耳をすませて二階の様子を聞いていても、うめき声も聞こえてきます。警察たちが入る音もし、話し声もするけどなんて言ってるのかわかりません。

しばらくすると、私の部屋のドアが叩かれました。警察と大家さんがやってきたんです。すると警察から「二階には誰もいなかった」と言われたんです。そして大家さんからは二年以上前から二階は二つとも空き部屋になっていると聞かされました。
じゃ、ポストにたまった郵便物と毎日に聞こえる喧嘩の声や足音は何なのかと詰め寄ったのですが、ポストは退去した人が住所変更してないから届くといわれたのです。結局、警察は夢でも見たんでしょうということで帰ってしまったのですが、そんなことはありません。

腑に落ちないのはその後も二階から喧嘩の声や物音が聞こえ続けたんです。大家さんにたまらず問いただすと、二階を見せてもらうことが出来ました。しかし、そこは本当にものけのから。かびっぽいにおいもします。そして、大家さんはこの住民は夜逃げ状態でいなくなり、連絡もつかなくて家具の処分もさせられて大変だったことを伝えられたのです。

今もどこで何をしているのか分からず、行方不明状態ということですが、私は彼がこの世にはすでにいないのだと悟りました。あの喧嘩とうめき声は二階の住民の断末魔だったのです。
その後、すぐに私は引っ越しましたが、今も彼は二階のあの部屋で誰かに殺され続けいているのだと思うと、ゾッとさせられます。

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