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不思議体験

Donさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

道中の体験
短編 2021/07/02 12:44 2,316view

今から20年ほど前に体験した事を書いてゆきます。
ドラマチックなオチはございませんし、何かが解決するわけでもございません。
ただ、体験したことを淡々と書きます。

まだ雪の残る季節。
霊感の強い知人と二人で地元でも有名な心霊スポットに行こうということになりました。
今ほどネットが普及しておらず、情報も少なかった時代ですので、「山に慰霊碑がある」「地元民は寄り付かない」ぐらいの情報しかなく、場所のいわれはわかりませんでしたが、場所自体は主要な街道からそう遠くなく、地図で確認が出来ました。

昼過ぎに知人宅を出て、私の運転で現地に向かいました。

道路脇には雪が残っていましたが、運転には問題ありません。天気は曇り。

知人宅から1時間ほど走ったころ、山間の集落に差し掛かりました。

この集落を越えたところに目的地があるようです。まだ夕方にはなっておりませんが、相変わらず天気は曇りで薄暗かったと記憶しています。

集落は田舎特有の活気の無い雰囲気。時より老人を道の脇に見かける程度でした。

集落を抜け地図通りに進むと、両脇が畑の農道がありました。
目的地はどうやらこの先の様でした。
対面通行ができない農道に車を走らせ、数分した時。助手席の知人がふと言いました。

「今畑にいた人、みた?」

運転席側の畑に人がいたというのです。

全く私は気が付きませんでした。対面通行ができない道路ですし、徐行ぎみで運転をしておりました。運転に集中しておりますので、人影に敏感のはずでしたが、気が付かなかったのです。

知人は霊感が非常に強く、見たり聞いたり出来る人物です。その事は自分も存じていましたので、知人にしか見えないモノが見えた時点で心は萎えかけていました。

しかしUターンできる場所もなく、車を走らせましたが、二人とも段々と口数は減りました。
曇り空と、段々と鬱蒼としてくる山道のせいで、まるで夜になったかの様な雰囲気です。

その数分後、目的地近くに達着した途端、二人とも口を開き

「引き返そう」

目的地近くは少し道幅が広く、Uターン出来ました。
そのまま来た道、つまり畑脇の農道を通り過ぎ、集落に向かいます。
知人が人がいると指摘した畑には人はいませんでした。作物自体がありませんでした。

そして集落に出て、逃げ帰る様に車を走らせている時知人が言いました。

「この集落に入った時、道端におじいさんが立っていた。」

私が「それは人間か?」
という意味の質問をしました。

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