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不思議体験

6さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

近所の宗教おばさん
短編 2021/06/09 15:49 5,438view

20分くらい涼しくなった田舎道を三人で歩き古い大きな屋敷にたどり着いて何人か親族を紹介されました。
彼女らは驚くほど宗教おばさんに似通っていました。
同じ人が何人も連なって非現実感さえあり軽く目眩がしました。
その日は疲れていたため簡単な夕食を頂きすぐに二人で床につきました。

翌朝屋敷付近をA君と散策していると屋敷のおばさん達に本尊を案内されました。
閉村には似つかわしくない豪華絢爛な建物でその付近だけ遊離感があります。
中を通されるとこれまた大勢の宗教おばさんがいました。
彼女らは親族謙信者だそうでここを拠点に全国に布教のため派遣されるそうです…
物凄く大きな例の観音像も祀られ信者の方々が祝詞を唱えています…
あまりの現実に私は気分が優れないとA君を引っ張りそこからでました。

そこであるオジサンと出会いました。
オジサンも一族の出身ですが血が薄いとの事で確かにおばさん達よりはるかに普通で愛嬌がありました。
小柄で髭を生やし坊主頭で快活でした。
彼は親族達とは半ば離縁し友人らと農業を営んだり川魚を捕ったりして生計を立てていたみたいです。
結果的には一族の全容はオジサンに教えてもらいました。

最初にかの国からの祖先がこの地に住み着いたのは戦前で一世紀近く昔の事です。
日本人ではありません。
彼女らの体格は大きく目は細くつり上がっていましたが性質は温厚だったようです。
それが戦後の動乱期に閑村を新興宗教という形で乗っとったようです。

彼女らは頭はいいのですが創造性を欠くため土着の山神信仰と仏教を混ぜ宗教を立ち上げたみたいです。

山陰地方なのに海洋生物の蛸がモチーフとして加わっているのがその混迷ぶりを表しています。

一族は遺伝的な欠陥からか女性がほとんどで男児は生まれても小さいまま成長しなかったそうですが、珍しいため祭事役に祭りあげられたとの事です。
オジサンが家出した要因の一つだそうです。

布教の仕方ですが女性である事を利に地域の有力者や資産家に取り入ったり入籍などを手段としていました。
今ではそれなりの規模となり検索候補に出るくらいは有名です。

以上が私が知り得た概要です。
この後屋敷でそれとなく信者の方々にも裏とりをしました。
その後私はこの地を訪れていません。
結婚を機に引っ越し連絡も取らないためおばさんもA君も現在どこにいるのか分かりません。
地元の本尊に戻ったのかA君は神事役に祀りあげられてるのかも分かりません。
私にはA君そっくりの子どもが生まれゾッとしましたが今のところ順調に育っていますし、続いて生まれた娘達も健康です。
成長して過去のルーツに興味を持たないといいのですが…

2/3
コメント(1)
  • 別に怖くないんだが…
    デカい、吊り目、馬鹿じゃないけど創造性に欠ける、かの国とは?

    2021/06/09/18:52

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