ミミズ

　これは親戚の女性、Ｔさんの話だ。
　Ｔさんは五人家族だった。お母さん、お父さん、Ｔさん、妹、弟。Ｔさんは下の兄妹とは歳が離れており、Ｔさんだけ部屋は兄妹と別にあてられていた。

　ある日、彼女のお母さんが頭痛を起こした。
　次の日はお父さん。次の日は妹。その次の日は弟。
　毎日一人一人頭痛を訴える者が多くなった。
　もしかしたら次は自分かもしれない。
　Ｔさんはその日、そんな不安に駆られていた。昼食のとき、Ｔさんは母親の足首に血管がぶくっと膨れたような何かが見えた。
　えっ、と思って他の家族のも確認すると、全員ある。ミミズのように足首で脈打つ何かが、自分以外の家族全員にあるのだ。
　しかしＴさんはその夜、思いの外あっけなく眠ってしまった。

　今でもＴさんは頭痛に苦しむらしい。しかし、自分の足首には何も見えないと言う。