奇々怪々 お知らせ
           
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心霊

会社に来る謎の訪問者
短編 2021/04/07 22:12 283view
私が地方の出版社に勤めていた時の話です。その会社は100年以上続いた老舗で建物もかなり老朽化していました。ある日、勤務でどうしても残業をしなくてはならないことになり、一階で作業をしていました。社員は全員帰宅し、私一人になりました。時刻は夜の10時くらいになり、そろそろ上がろうかと思った時に廊下にあるエレベーターが起動して3階に止まりました。誰もいないはずだがおかしいなあと思いましたが、誰も下に降りてくる気配はありません。

 変だなあと思いながら、ボタンを押して一階に降りてきたエレベーターに乗り、3階に上がりました。辺りは真っ暗で誰もいません。少し怖くなり、誰かいませんかー、と声を出しましたが返事はありません。階段で逃げるようにして下まで降りて、その日は帰りました。
次の日に先輩に話をしましたが、何かの誤作動だよとのことで有耶無耶にされ、そんなものかと思いました。

 しばらくして、そんなことも忘れかけた時、先輩がエレベーターに乗り、ドアが閉まる前にその中に入りました。中には私と先輩の2人しかいないのですが、立っている私たちの間に姿は見えないのですが、確実に誰かが立っているのです。透明人間というのがいるならば、まさにそんな感じです。やや冷んやりとした、じめっとした空気がエレベーター内に流れました。エレベーターが3階に止まり、私たちは降りました。先輩も違和感を感じていて、今、私たち以外に誰かいたよねと言ってました。気のせいではないレベルです。流石に定年が近い上司ならば何か事情がわかるのではないかと思い、これまであった話をしてみました。

 すると、上司も何とも言えない顔をして、やはりまだ来ているんだなあとぼそっと話始めました。今からかなり昔のことですが、編集のプロのAさんという方がいて、それはかなりの腕前だったらしいです。
 ある年の大晦日に、実家に帰省する際に体調を崩して、あとわずかで実家に着く手前で倒れて亡くなったとのことです。そんなことは知らない上司が、新年が明けて会社にくると、いつもどおりAさんが椅子に座っていました。調子いかがですかと上司が聞くと、まあ変わらずだねと答えていたそうで特に不審には思わなかったらしいです。
 しばらくすると他の社員が、1人、2人と会社にやってきてワイワイ話始めたらしいです。いつの間にかAさんの姿がなく、トイレにでも行っているのかなあと思っていると、社長が悲しそうな顔をして現れました。皆んなを集めて、Aさんが亡くなったとのことを話始めました。

 上司は驚きました。先程話をしたばかりで、にわかに信じがたいと思いましたが、冗談とは思えずにいました。では、先程挨拶をしたAさんは、もうこの世の人ではなかったのか。寒気がするのと、どこか寂しさを感じたらしいです。それから、どうやら姿は見えないけれど、Aさんは会社に姿をたまに現すらしいとのことです。エレベーターの中で、君たちはAさんに会っていたんだよと言っていました。
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