奇々怪々 お知らせ
           
  • 4/1 奇々怪々3月GPを決定し、殿堂入りを追加しました。
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  • 3/1 3月GPより受賞内容が変更になりました。

心霊

明美さん。
長編 2021/04/01 00:01 2,001view
行きつけの地ビールを豊富に取りそろえたバーで知り合ったN君から聞いた話。
いつもは陽気に飲む男が、その日はどこかしんみりと一人で飲んでいた。

「山子さんは心霊とか信じてますか?」
私はこの地、つまりは故郷の消えかけている民間伝承を集めるのが趣味だが、人にこの趣味について語ったことはない。
「あるんじゃないかなぁ。私の知り合いには心霊現象体験者はいないけどね」
N君と同じタイミングでビールジョッキを傾けて空にした。

「N君も飲めよ、奢るぞ」
N君は直に応じ、いつもの黒ビールを注文した。

「実はですね、その心霊現象で悩まされてるんですよ」
私が収集する話とは毛色が違うが、このようなお話がのちに「民間伝承」に変わることもある。
私は目で話を促した。

「去年の夏のことなんです。僕たちは避暑のために〇〇高原に旅行に行ったんです。大学2年生で学業は中だるみでしたし、メンバーはすぐに集まりました」

「大学生で避暑とは景気のいい話だな」
「いえ、僕の実家が〇〇高原に小さな別荘を持ってまして、管理ついでに遊びに行ってくれないかって話でした」

ここからはN君の回想をメインに構成しようと思う。
相槌を打つだけの私は邪魔であろうから。

「別荘地と言ってもかなり開けた場所でした。ちょっと歩けばコンビニがあったり、路線バスに乗れば30分ちょっとで電車の駅にも出ることが出来るんです。僕たちは車で行きましたけど。メンバーは、そうだな男がC君、T君と僕。女の子も呼ばないと盛り上がらないのでR子とK子を誘いました。男が3人、女の子が2人です。えぇ、男が一人余りますね(笑)

予定では、3~4日ぐらい逗留して帰ろうと。山の中の別荘地ですから飽きるのも早そうですから。小さな別荘とは言っても、広い庭でバーベキューも出来るし道具もそろってる。あとは山歩きをしたり、街まで出て土産物屋を冷やかしたりと言う計画です。

到着した日は既に夕暮れで、疲れもあったので別荘のキッチンで女の子たちが作ったカレーとサラダで酒を飲んで寝てしまいました。
5人で泊まるにはちょっと狭かったですね。

翌朝のことなんです。
本当にこの朝が全ての始まりだったんです。早朝に目覚めたC君とR子、K子は散歩に出たそうなんですが、別荘地にある小川にかかる橋のたもとで明美さんと言う女の子と出会ったそうなんです。
そうです、この明美さんが問題なんですよ。
昼頃にはメンバー全員が目を覚まして、山歩きにでも行こうかって話になりました。
その時にR子が
「今朝、知り合った地元の子がいるから案内してもらおうよ」と言い出しまして。
探すまでもなく、出会った橋のたもとで、大きな岩に腰かけて所在無げにぼんやりしていたそうです。
ほどなく明美さんは僕たちと合流しました。
コレで男女が同数になったので、あぶれることは無いなと(笑)

明美さんですか?
綺麗な…綺麗な子でしたよ。歳も僕たちと同じくらい。ワンピースを着ていつもニコニコと笑ってる感じでした。
正直、R子に惚れていなかったら僕も明美さん争奪戦に参加してただろうと思います。
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