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不思議体験

梓さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

祖母ではないかもしれない
短編 2021/03/26 04:06 1,385view

祖母が亡くなった日の話です。

お葬式を終えた日の夜、私は姉と近所のファミレスに行くことにしました。
その道中、車内で祖母の思い出話を語りながら
私達はもう一つの件について話していました。

それは、父親から聞いた何者かによる実家への嫌がらせの話でした。
実家は田舎で親は農家を営んでいますが、ここ数年誰かから私達の家についての悪口の電話を受けたり、作物に除草剤を撒かれるなどの嫌がらせを受けていたという内容でした。

実家はとても貧しい農家でしたが、片親になっても祖母と父親は私達を苦労しないようにと一生懸命育てて真っ当にくれましたし、何よりも誰かに疎まれるような事をする家族では無いと、私は自分の家族に感謝と誇りを持っていたので、この話は私を凄く憤慨させたのを覚えています。

そして、嫌がらせをする犯人も目星はついていました。

私は祖母が亡くなった事への悲しみに加えて、この件の犯人について、私の家族を脅かす物に対して凄く憎悪に混じった感情と言葉を車内でずっと吐き出していました。

持ち込むべきでは無い感情を姉と宥めて、ファミレスに着いてから
凄くありきたりな話なのですが、私と姉だけだったにも関わらずウェイトレスが3人分の水の入ったグラスを用意してきたのです。
お店に入った時から、注文を取る時、何故かウェイトレスとの話が噛み合わない気がしていたのですが私達は『祖母も一緒に来てくれたのかもしれないね』と思いその時間をやり過ごしました。

これだけの話なのですが、私は少し引っかかっていることがあります。

私は幼少期から不思議な体験や霊体験を何度かする事があり、また自分の憎悪が増した時におかしな体験を何度もしてきていました。

やり場のない怒りに溢れてしまった時、決まって金縛りに遭ったり、同居人にまでそれが影響する事が多々あったのです。
ただの金縛りならいいのですが、必ずと言って良いほど邪悪な物を感じたり、邪悪な何者かが私の周りを歩き回るという不思議な体験をしており、同居人もそれを体験しています。
そして親から、そして同居人からも私の念は強いと言われてきたものでした。
私はもしかしたら憎悪の感情が、悪い何かを引き寄せているのかもしれないと気をつけようと思っていたものです。
ただ、この日は自分を忘れるくらい憎悪の感情を抱いてしまった日でもありました。

姉は祖母が一緒に来てくれたのかもしれないと思っているのですが、上のことがある私は心の中で今でも、あれは祖母ではなくて私が呼び寄せてしまった何かかもしれないと思っています。

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