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不思議体験

教室の後ろの扉に…
長編 2021/03/24 18:32 1,583view
俺が高校二年生だった頃の話。

当時のジョンガリ少年は、曲がり成りにも一応進学校に通っていたのだった。

一般的に中弛みの時期と言われる高校二年生の梅雨頃、うちの教師陣はそれこそ梅雨の湿気を含んで反りに反ったギターの様に生徒という弦を弛ませる事を良しとしなかった。

ジョンガリ少年は理系を選択し、その中でも割と優秀な部類であったのだが、物理や数学には強いのに対し化学の成績がすこぶる悪く、100点満点で20点代や、偏差値で語ると30代を取ることもザラにあり、担任の先生の頭を抱えさせていた。

ただ、一般的に理系を選択したとて国語科や社会科などの文系教科も履修せざるを得ないのが現状で、現国と地理、漢文の文法が英語と同じであると気がついてからは漢文も得意科目になったのだが、なぜか古典が全くの不得手であった。

そんな捻くれたジョンガリ少年は、自分で言うのも変なのだがやはり性格にも一癖あり、中二病を高校まで引きずっているタイプのイタい少年であった。

具体的には、我が街を横断する一級河川の河原に腰を下ろし、EaglesのDesperadoを聞きながら沈み行く夕日を反射する川の流れを滲んだ目で眺めている様な少年だった。

そして俺の最もイタかった点は、高校二年生にもなって、やっぱり心霊やオカルトというものが大好きであった点だ。
俺は仲の良い友達だけに飽き足らず、良くしてくれる先生などにも怖い話の体験談を聞いてまわっていた。

その中でも、今でも特に印象に残っている話は物理の先生が大昔に深夜の校舎で経験した話だ。

深夜、B校舎の三階のフロアを巡回していると自分の足音がダブって聞こえてきたそうだ。
足を止めると少し遅れてもう一つの足音も止まり、歩き始めるとやっぱり少し遅れてもう一つの足音も歩き始めたと言っていた。

そして一通りグルっとフロアを見回った時、当時の2-6の教室の、後ろの扉の鍵が空いていたそうだ。

鍵の閉め忘れだと思ったらしいのだが、万が一、変な色気を起こした生徒や女子のリコーダーが目当ての不審者が忍び込んでいるかもしれないので、懐中電灯片手に扉を開けて「誰かいるんですかー?」と声をかけてみたらしい。
当然返事は無かったのだが、深夜に校舎に忍び込む様な不届き者が返事をする筈もないと考え、教室の中に入っていったそうだ。

結論から言うと、教室を見回しても誰も居なかったらしい。

やっぱり鍵の閉め忘れか?と思い踵を返した先生は、突然着ていた白衣の襟をグイッと引っ張られ、
自分以外の何者かの「おい!!!!!!!」という怒号を聞いたとの話であった。

「長年、物理で教鞭を取っているけど、あの現象の説明はつかないなぁ~」と優しそうに語ってくれた先生を余所に、俺は不気味さと好奇心とを綯い交ぜにした様な感情を抱いていた。

閑話休題

話が逸れてしまったが本筋に戻ると、先に語った様に、ジョンガリ少年は化学と古典が苦手科目であり、また、先生方は生徒に中弛みさせまいと躍起になっていた。

お察しの通り、俺は補習の常連であった。

そしてある日の放課後、その日の俺は古典の補習を受けていたのだった。

教室は我が2-8であった。
実は8組は理系のアドバイスクラスだったのだが、その日は俺ら8組のバカ野郎ども数名の他に、文系教科が苦手な理系のスタンダードクラスのバカ野郎どもも数名集まっていたのだった。

補習と言えどもその空気感はなかなかに緩く、また即席の混成クラスゆえ席も決まっていなかったため、俺は教室の一番後ろの最も廊下側の席に腰を下ろしていた。

補足として記すが、反骨精神の現れという訳ではなく、ただ単にそこが俺の教室での席だったからというだけである。

その日は雨が降っていた。
教室はジメジメとした湿気に満ちていて、ほんの少しの抵抗として、換気のために教室の扉は開けられていた。
俺は、廊下越しの窓から雨空を眺めていた。季節は夏に近づいていたため日は延びていたのだが、雨のせいでどこか薄暗さがある灰色がかった薄水色であった。
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