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心霊

琥珀さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

廃屋
長編 2021/03/21 20:10 3,594view
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高校生になり周りの友達が原付免許を取得し始めた。私も交通違反をしたら即免許没収という条件で親から許しを得た。先輩に譲って貰ったスクーター DIO ZXで夜な夜な友人達と自転車では行けない遠方に出かけた。ある晩、友人の1人が「呪われた洋館」があるという噂を仕入れてきて、みんなで向かう事になりました。洋館の場所は私達の住んでいる地区からだいぶ遠い場所でした。当時、夜中に原付4〜5台で走っていると暴走族と鉢合わせして追っかけられる事もあったので、ビビリの私は洋館なんかより知らない土地の暴走族の方が怖かったのですが、今夜は空手個人全国三位の実力者T君が居たので安心でした。しかも、T君の友人で地元の極悪男子校1年最強と噂されるS君も一緒です。何だったら逆に絡まれて2人の実力を見たいとも思っておりました。

そんな期待とは裏腹に誰にも絡まれる事なくすんなり洋館に着きました。外国の巨大な洋館を勝手に想像していたのですが、着いてみると森の中に確かに洋風な一軒家がポツンと建っていました。周りにはゴルフ場があるらしく、洋館の背後の森の向こうには巨大な緑色のネットが張り巡らされています。

「ちっちゃ」
誰かが呟いた一言でみんながクスクス笑っています。どうやらみんな同じ様な洋館を想像していたようです。
「とりあえず入ろうか」
真っ暗なうえにヘルメットを被っているので、誰が話しているのか全くわかりません。
木製の玄関のドアは空いていました。ドアにステンドグラスがあしらえてある所を見ると洋風ではあります。

中に入ると真っ暗で何も見えませんでした、廃屋に行くなら懐中電灯は必須と思うでしょうが、懐中電灯を家に取りに帰ると、親がぎゃーぎゃー騒いで家から出れなくなる恐れがあり、途中で買うお金もありませんでした。タバコを吸っている友人もいたので、何とかライターで周囲を灯しますが、
「熱っ!」と聞こえて、また真っ暗闇です。

そこで、1人が「お前のバイクなら照らせるじゃん」と言いました。

モンキー(小さな原付バイク)に乗ってきていた友人がいたので、それは良いアイデアだと玄関にバイクごと突っ込んで中を照らす事にしました。一酸化炭素中毒にならないように排気管だけ外に出して、車体の半分を玄関のドアに挟んだ状態にすると、見事に中の様子が丸見えです。
「帰りのガソリン代払えよな」とバイクの持ち主は不満そうです。

中は玄関から入ると真っ直ぐに階段が伸びており、上は吹き抜けになっていました。階段を登ると左右に道が分かれており、左右それぞれドアがついていました、階段を登った廊下部分は木製の手すりが着いています、説明が難しいのですが、階段を登った廊下部分から一階の玄関が見渡せる感じです。作りは映画に出てくる洋館そのものですが、規模が小さい。
書き忘れてしまいましたが、我々は4人です。

私は一階でモンキーバイク持主と玄関にいました、階段を登った右側の部屋のドアをT君が開けるのを見ていると、となりにいた友人がヘルメットの中で何かを言っています、
「おぉ おぉ あぁ あぁっ」みたいな。
その瞬間に2階で右側のドアにもたれ掛かる様にT君が倒れました。
気を失ったかのように受身もとらずスーッと。
「あっ!」バタンっ!
あきらかに転んだとは違う倒れ方。思わず大声で叫んだ私の声と180センチオーバーの巨体が倒れた音を聞きつけて一階のリビングであろう付近を探っていたS君が駆けつけました。

家中にはヘッドライトに照らされたホコリが舞っています。

T君に駆け寄ろうとする私を横目に、隣に居たバイクの持ち主は動きません。
「おい!行くぞ!」と私が声をかけると、
「嫌だ…」と言って。
動きません。構わずにT君に駆け寄ると顔面を強打したようです。唇と鼻から血が出ていました。Sと2人で家からT君を運び出そうとしていると、周りが真っ暗に。
バイクの持ち主がバイクを玄関から運び出そうとしています。
「ちょっと待て!」
S君が叫びましたが、無視です。
何とか外にT君を運び出した時には、
バイクの持ち主は1人で逃げて居ませんでした。

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コメント(1)
  • モンキーが入る玄関なら普通のバイクどれでも入るやろね?
    夜中の廃墟行くのに強力なライト持っていかない神経がわからないけど!

    2021/04/24/13:36

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