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呪い・祟り

やうくいさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

こけし人形
短編 2021/03/18 18:36 9,818view
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骨董品好きの祖父はよく古物商に行っていました。買うことはごく稀だったようですが、ある日とても美しいこけし人形に一目惚れし、その場で購入したそうです。
何度か祖父に自慢された時に見ましたが
表面は美しく磨き上げられ、複雑な模様が描かれており、顔もしっかりと彫られていたため、たしかに見事なものでした。
そのこけし人形は随分と長い間、祖父の書斎に飾られていたのですが、祖父が亡くなった際、その他の様々なコレクションと一緒に持っていかれました。
『持っていかれた』と言うのは、私の母の弟の嫁(一応私の叔母です)がとても厚かましい人で、祖父の書斎にあった物を誰の許可もなく持ち去ったからです。
叔母曰く「うちは家計が苦しいから、生活の足しにする。」とのことで
恐らく二束三文で売り払ったのでしょう。
今までにも何度かこういう事があり
親戚一同も祖母も、すっかり諦めてしまっており、身内でいざこざを起こしたくないとの事で、もはや誰も何も言いませんでした。

次にあのこけし人形を見たのは、祖父が亡くなった年の年末でした。
年末は祖母の家に親戚一同が集まるため、当然叔母や叔母の息子(一応私の甥ですね)も来ており、今は小学2年生の甥は何やら騒いで障子を破ったりしていました。

そんな甥の手に握られていたのがあのこけしでした。叔母曰く「甥ちゃんが気に入って離さないからあげたのよ。ほんとはこんな汚い人形で遊んで欲しくないんだけど。」
との事で、確かに甥はこけしを常に掴んでいて、食事中すらも離していません。
こけしがそんなに好きなの?と聞くと
「これ持ってるとあーちゃんと遊べる。」
とよく分からない事を言っていました。
あーちゃんってどんな子?と聞くと
「こんな感じ。」
とこけし人形を指差しました。
それを聞いた父が
「それ、座敷わらしじゃないか?」
などと口を挟み、そこからは我が家に伝わる座敷わらし伝説の話になりました。

うちの家系では時々見える子供が現れるらしく、その子は大出世するという内容で、叔母はとても嬉しそうにしていました。
その日は、祖母と叔母の間で軽い言い争いがあった以外は、平和な一日でした。

それからしばらく経ったある日、叔母から携帯に連絡がありました。
「うちの子見てない?そっちに行ってない?」とかなり焦った様子です。
詳しく話を聞くと、甥が突然居なくなったそうです。まだ小学生ですし、一人でどこかに行くとは思えません。
誘拐かとも思いましたが、部屋で遊んでいる時に忽然と消えたらしく、それは有り得ないとの事でした。
叔母にはこちらでも探してみると伝え、祖母にも伝えておく事にしました。
祖母に甥の事を伝えると
「そうか。やはりおらんなったか。」
とあまり驚いた様子もありません。
どういう事かと聞くと、祖母はぽつりぽつりと話し始めました。

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コメント(2)
  • おもしろかった!読みやすいし、ちょうどいい長さですね。

    2021/04/10/10:10
  • 子消しと小芥子。怖い!!

    2023/07/04/21:41

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