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ヒトコワ

イエティさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

消えた両親とカルト教団
短編 2021/03/18 10:37 13,272view
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これは、北関東の田舎に住むある若者の話。
彼の主観で書きます。

俺の両親はある宗教にどっぷりはまってしまっていて、
やれ儀式だ、集会だ、とよく家を空ける。

信者の中ではかなり古参らしく、けっこう高い地位にいるらしい。
その証拠に、他の信者から巻き上げた金を教祖から”活動資金”と称して持ってくる。
月に1回くらい、100万近く持ってくるもんだから両親は既に働いてなかった。

両親は、人間の体に神を降ろす研究をしているらしく、
手に取るのもためらうような汚え古書や文献を集めて読み漁っていた。

その宗教が崇める”神”の絵を、一度だけ見せてもらったことがある。
神ってよりは、もはや死神とか悪魔とかそんな見た目だった。
遊戯王にありそうな絵だった。

神の名前を書いたらバレそうだしなんか怖いんで、
遊戯王にちなんでオベリスクと呼ぶね。

オベリスクは過去の偉人たちの魂が集まって生まれた神で、
教祖は一度会ったことがあるらしく、オベリスクからの神託を得て信者を集めている。

俺も古参の息子だからと長々と口説かれたことがあるが、
興味があるふりして、

「勉学を頑張ってから教祖様のお力になりたいです」なんて調子のいいこと言って回避してた。

まあおかげで大学の学費+月々の仕送り30万円を教祖からもらってた。
贅沢だな…

大学入学とともに地元を離れ、俺は京都で一人暮らししていた。
彼女もできて、大学生活を満喫してた。

大学3年の頃、就活も無事終わり、彼女と結婚したいな~とか考えてた。
でも大学卒業したら宗教に入ることを言われてたし、高校時代からそれを理由に回避してたから、
就職して京都で家庭を持ちますなんて言ったら殺されるんじゃないかとか考えてた。
金も出してもらったしね…

両親はどっぷりだけど、ある程度息子の自由も考えてくれてたから、
とりあえず両親に会いに行くために帰郷した。

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