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心霊

琥珀さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

犬が見たもの
短編 2021/03/17 23:05 1,830view
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母方の祖母と母と妹は霊感が強く、その祖母が我が家に遊びに来て実家の和室で寝泊まりしている時の事です。私が高校から帰ると、祖母しかいない筈の和室から話声が聞こえてきました。「それは大変でしたね〜、わかりますよ〜」とか。誰かいるのかと思い「ばあちゃ〜ん」と和室を開けると、祖母が1人で座っていました。何故か半分戸が空いた押し入れの方に正座して。「誰かいたの?」と聞くと「おともだち」とニコニコしています。もちろんボケてはいません。その夜、リビングに行くと父と母が神妙な顔をして話をしていました。「どうした?」と聞くと祖母が私の父親しか知らないこの家の情報を淡々と語り出したという事でした。その内容とは、私の実家は中古物件だったのですが、私達が購入する前は年老いた母親と息子が住んでいた、その母は病気がちで息子は長距離トラックの運転手、息子が仕事で遠くに行っている間に母は具合が悪くなり、あの和室で亡くなったという事でした。息子は母を看取れなかった事をとても悔んでいた。その後、息子は仕事が手につかなくなり、住宅ローンが払えなくなり家を手放した、という内容でした。父親に確認したところ、内容に間違いないという事です。父親はそこまでの詳しい事情は知りませんでしたが、母が亡くなり、息子が家を売却したのは知っていました。不気味なのは、祖母はこの話を「運転手の息子が教えてくれた」と言ったそうです。それから暫くして、私は高校を卒業して実家を出ました。兄弟は仲が良い方なので、妹とはちょくちょく連絡を取ってはいたのですが、妹の部屋のエアコンが壊れてから、今はあの和室で寝ているとの事でした。妹は「心霊体験に慣れた私でも、和室は怖くて眠れない」と言っていました、「怖いから、必ず実家のチワワと一緒に寝ている」と。

「なんで怖いからチワワと寝るの?」と聞くと、「幽霊って犬が苦手なんだよ」と。久しぶりに実家に戻った私が家族との団欒を済ませた後に、元々自分の物だったベッドに寝転んでいました。現在の様にスマホは無く、退屈で眠れなくてダラダラと夜中まで起きていました。すると和室から妹の叫び声が聞こえました。慌てて和室に行くと和室の真ん中に引いた布団の周りをチワワが唸り声をあげて走り回っています。まるで何かを追いかけているかの様でした。呆然とその様子をみている私と布団でうずくまっている妹。チワワは相変わらず布団の周りを追いかけ回しています。すると、急に押し入れが開きました。誰もいないのに。チワワは空いた押し入れに向かって吠え続けています。両親も起きて私の隣でその様子を呆然と見ています。その晩起こった事はそれだけです。しかし、人ならともかく、犬が嘘をつく訳がありません。滅多に吠えないチワワのあの唸り声。犬に追いかけられて焦った感じでガタガタと開く押し入れ。あの出来事は今でも忘れません。少し落ち着いた妹に詳しく話を聞くと、異様な雰囲気で目覚めた妹は、自分の首筋辺りに何かを感じたそうです、すると犬が唸り声を上げ始め、妹の首筋辺りに噛み付く仕草をして、その後に布団を周りはじめたと。母を看取る事が出来なかった息子のその後は知りませんが、今でも母を想って押し入れから見守っているのかもしれません。妹の首筋の気配は母に布団をかけてあげようとした息子の優しい手だったのか?妹は怖かったけど、嫌な気配ではなかったと言っていました。

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コメント(1)
  • チワワも役に立つもんなんだねぇ!

    2021/05/09/22:36

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