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不思議体験

水琴さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

あの世があると教えてくれた祖母
短編 2021/03/15 20:32 1,821view

私の父方の祖母は、認知症になり、最期は病院で迎えました。
その所為でしょうか、祖母の葬儀や四十九日が済んだというのに、母や私の妹が不思議な夢を見続けました。

母は、夢の中で祖母が、病院で着ていた浴衣姿で帰ってきたので、慌てて庭を隔てた祖母の家に入り、着物を着せてあげた夢でした。
妹はもっと恐ろしく、夜中に叫び声を上げたので、私は慌てて妹の部屋へ行きました。
すると、妹は自分の腕をさすりながら、
「今、おばあちゃんが私の腕を引っ張ったの。ここが、ここが痛い」
と泣き声で訴えます。

電気を点ける余裕もなく、私は妹の背中をさすりながら、部屋の中に向かい、心の中で
「おばあちゃん、○○子を連れて行ってはダメよ」

と強く叫びました。
妹は、もう数回嫌な夢を見ていました。
認知症で、私達がお見舞いに行っても、父以外は誰かもわからなくなっていましたが、妹のことは覚えていたのでしょうか。

この話を聞いた父が、1週間家族でお経を上げようということになり、家族4人でお供え物をし、1日1回お経を上げました。
それで、悪い夢は誰も見なくなりました。

それでも、祖母の話をすると、その晩私でも祖母が悲しそうな顔をして夢に出てきたこともありました。

それから30年ほど経った頃、私はあの世と言うのは本当にあるのだろうか、ということを真剣に考えていました。知り合いに、霊が見える人がいたこともあり、そう言う人にとっては、この世は仮のもので、あの世に「帰る」という考え方だったからです。

そんなある日、片づけをしていたら、ふと本の間から1枚の紙がハラリと落ちました。
何かと思ったら、なんと、私が高校生の時に書いた日記の1ページではありませんか。結婚の時に実家に置いていき、その後実家が建て替えた時に、私の部屋にあった物は総て捨ててもらったのです。

とっくにこの世から無くなって20年以上経っていら物が、何故うちにある本の中から出てきたのでしょう・
しかも、その紙に書いてあったのは、私が祖母を見舞った日のものだったのです。

不思議で不思議で、霊感の無い私にはどう理解して良いかわかりませんでした。
ただ、そろそろ祖母の三十三回忌ではないか、と気づき、お線香とお茶やお茶菓子を上げました。

その後は、2度程祖母は夢に出てきましたが、親戚と皆で集まって食事をしていたり、花柄のワンピース(祖母は普段は着物でした)を着てにっこり私に微笑んだりしたものでした。
びっくりしましたが、「あぁ、おばあちゃん、やっと成仏出来たのね」と、思いました。

認知症で亡くなった方達が、自分の死をいつ知るのかはわかりませんが、私の祖母は、三十三回忌辺りまで成仏出来ていなかったのかもしれません。

そして、祖母は私に、
「あの世はありますよ」
と、教えてくれたのだと思います。

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コメント(2)
  • 引っ越しの時に持って来た本の中に日記のページが挟まっていたのかな? 元気だった祖母、認知症の祖母、夢の中の若い頃(ワンピースがそれを連想させます)はどういう違いがあったのか書くとイメージしやすいかも知れません。重度の認知症だと身内を知らない名前で呼ぶことも有りますから、もしかすると心の何処かで距離を感じてしっかり冥福を祈っていなかったのかも知れませんね🤗

    2021/03/15/22:27
  • やさしいおばあさんですね
    成仏出来なかったのではなく 成仏しなかったんですよ
    三十三年間あなたを守ってくれていたんです

    2021/03/17/06:51

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