奇々怪々 お知らせ
           
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不思議体験

山の中に響いた不思議な声
長編 2020/11/06 23:47 6,306view
私がまだ中学生の頃のことでした。友達と山登りに行こうという話になったんです。ですが、私の両親は大反対でした。その理由は、数週間前に、その山の近くの道路に変質者が出るという噂があったのです。スポーツカーに乗って、アフロヘアのマスク姿の男性だということで、担任の先生からも注意するようにと言われていました。

ですが、事件らしい事件は起きていなかったし、たいした高さでもない山です。
私はなんとか両親を説得して、友達と山登りに向かいました。
季節はまだ5月と肌寒く、とりあえず薄手のパーカーを羽織っていきました。私たちの計算では、夕方までには帰宅しているはずだったのです。

私と友達のAちゃんは、談笑しながら山を登り、山頂でお弁当を食べました。
Aちゃんはとにかく怖い話が好きで、山へ登る途中にもいろいろと怖い話をしてきて、私はその度に耳を塞いでいました。
「なんでそんなに怖い話が好きなの?」
と聞くと、
「だって、ワクワクするじゃない」
彼女自身、幽霊などを見たことはないらしいのですが、本やテレビでオカルト特集があると必ずチェックするらしいんです。

「山に関する怖い話もあるよ」
「やだやだ。やめてよ。聞きたくない」

お弁当も食べたし、そろそろ帰ろうとしたときに、私はあれ?と思いました。Aちゃんのリュックにあった鈴がないのです。確か、熊よけが必要だと少し大きめの鈴がついていたはずなんです。
私が教えると、Aちゃんが泣きそうな顔をしました。

「どうしよう。あの鈴、お父さんから借りてきたんだ。もし、なくしたら怒られる」
青ざめる彼女に、私はとりあえず探そうと提案しました。
歩いてきた道をたどれば、なにも問題はないはずです。

私たちは、ゆっくりゆっくり下を確認しながら、山を下りていきました。なかなか鈴が見つからず、Aちゃんは泣き出すし。もう、どうしていいかわかりませんでした。おまけに、私たちは大きな失敗をしてしまいました。鈴を探すのに夢中で、いつの間にか道がそれていたんです。気がつくと、周囲は薄暗くなっていて、私たちは帰り道がどっちだったのかわからなくなってしまいました。
とりあえず、来た道を戻ろうとしたのですが、もう、どこからきたのかわからなくなっていました。

5月の風は夜になると、だんだん冷たくなり、私たちは震えながら帰り道を探していました。
現在なら携帯電話があるので、すぐに助けを求められるのですが、当時はまだまだ携帯電話は普及していませんでした。
連絡手段などあるはずがないのです。

月明かりでも見えたら、少しは気持ちも明るくなるのですが、鬱蒼と木が生えていて、空を見上げも、葉っぱのシルエットが蠢き、恐ろしく見えるだけでした。最初は、必ず山から下りることはできると思っていた私ですが、歩いても歩いても同じような道で、いっこうに道らしい道もなく、もしかするともう山から出られないのではないかとまで思っていたとき、遠く離れてチカッと光が見えた気がしたんです。夢中でそっちへ走っていくと、なんだかネオンらしい光が遠くで輝いていました。

「やった。あそこまで行けば」
そういって走り出そうとしたとき、不意に誰かの声を聞いた気がしたんです。
はっきりとした言葉ではないのですが、男の人、の声に聞こえました。

「聞こえた?」
と、Aちゃんに聞いてみたのですが、彼女には聞こえなかったみたいです。
すると、また微かに声がしました。

もしかすると、私たちの他にも人がいて、同じように迷子なのかも。そう考えると、ほっとけなくなって、私とAちゃんは声の方を辿ることにしたのです。
でも、呼び掛けても返事はありません。
もしかすると怪我をしているのかもしれない。私たちは声だけを頼りに進みました。
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記事編集(作者用) 作者プロフィール
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コメント(4)
  • スポーツカーに乗った、アフロヘアのマスク姿の変態というのが見事なパンチライン

    2020/12/24/22:51
  • 助けていただいたのに、女性特有の気質というか、
    わかりませんが、感謝の気持ちが薄く感じます。

    2020/12/26/00:46
  •  作者も友人も中学生の少女。変質者の話をあらかじめ聞いていたのに、夜間に車に乗って急に現われた男をそのまま信じて乗り込むとは――。
     まあ、思春期の少女の精神的未熟さが出ただけかも知れませんが、一歩間違えれば彼女らが犯罪の犠牲者、あるいは「中学生女子失踪事件」の被害者になっていたかも知れず、それがかえって恐ろしい。

    2020/12/30/03:14
  • 非常に目立つ変質者の伏線はともかく、鈴はどうしたんです。鈴。
    鈴が気になる。

    2021/02/20/15:01