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不思議体験

rarkさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

水色のイヤリング
短編 2023/06/05 17:52 3,493view
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「水色のイヤリング」

高校一年生の12月。僕は誕生日に、友人のAから、金色と水色の混ざった、イヤリングをもらったんです。
まぁ、出かける時はだいたいイヤリングはしているので、その後Aと遊びに行こうってことで、そのままイヤリングを左耳にイヤリングを付け、Aと電車に乗り込みます。
そこから、色々遊んで夜の7時くらいになった頃、どこかで食べて帰ろうということになり、僕らは市電に乗り込みます。すると、Aが
「やべぇ。俺ちょっと腹痛い。」
当然市電にトイレなんてありません。
「もうちょいやけん。ちょっと我慢しろよ」
と言ったのですが、Aは
「マジで限界……!」
と言うので、仕方なく次で降り、トイレを探します。こんな都会なので飲食店くらいあるだろうと思っていたのですが周りは、会社などのビルしかなくなかなか見つかりません。するとAが、走って路地に入って行きます。
「つっw お前まさかそこでする気?」
と、半分ふざけて聞くと、Aは路地の途中にある、ボロボロの飲食店に入ります。なんだ。あるじゃん。
なんて思って、僕も続けて入ります。中に入ると、トイレとエレベーターがあり、
「飲食店は2階へ↑」という看板があります。ここで待って置くのもアレなので、とりあえず、喉が渇いた僕は、個室に入ってるAに、
「俺上におるけん。終わったら来て。」
とだけ言ってエレベーターに乗ります。2階に上がると、中は意外と綺麗で、お客さんも何人かいます。

地元の隠れスポットとか?なんて思いながら、とりあえず席に座り、メロンソーダを1つ頼みます。注文をする時、店員の顔が少し驚いた顔だったのですが、注文を取り終えるとすぐに普通の顔になり、去っていきます。何気なく店内を見渡していると、僕は違和感を覚えます。僕の席から少し離れたテーブルの下から、顔のようなものが覗いているんです。お面を被ったような顔。お面と言えば、狐面とか能面とか思いつくのですが、そいつのお面は、ぐちゃぐちゃの無造作な顔をしたお面。
すると、僕とそいつの目があったかと思うと、そいつは、引きずられるように、席の下へと潜って行きました。え?は?なんて困惑していると
「お待たせしました。メロンソーダです。」
店員がメロンソーダを運んできます。とりあえず落ち着こうと、それを1口……
「おえっ!ゲホッゲホッ!」
僕はそれをコップの中に戻します。ドブと田んぼと草を混ぜたような、とにかく酷い味。
しばらくむせていて、ようやく落ち着いた時、あることにきずきます。
「コイツら……なに言ってんだ?」
よく耳をすませると、完全に日本語では無い言葉で、この店の客全員が会話をしている。何故か分からないけど、妙に危機感を覚えた時、
ズリ、ズズ……
バックヤードから、2m越えの身長をした、妙に背の高い奴が出てきます。それが人間ならまだ良かった。そいつは、やけに丸く、縦長の身体をしていて、妙に腕と足が短い。そして、顔には、さっき見た、無造作な顔のお面。そいつは身体を引きずりながら、ゆっくりと近ずいてくる。こんなバケモノなんかいたら、この店の客の誰かが叫んでもいいはずなのに、まるでそいつに気付いていないかのように、誰1人反応しないんです。
「ヤバい」この3文字が頭に浮かぶ。僕は早々に会計を済ませ、逃げるように、店を出ます。その時、耳についていたイヤリングが落ちましたが、そんなことを気にする暇はなく、エレベーターのボタンを連打します。
しかし、カチッという音が鳴るだけでランプが全くつかないんです。後ろを見ると、さっきのバケモノが近ずいてくる。僕は咄嗟に辺りを見回し、エレベーターの横にあった階段をかけ下ります。
「おいA!!いつまでトイレこもってんだよ!さっさと出ろ!!」
と言ってトイレに入りますが、そこはもうボロボロで、個室のドアなんか着いちゃいない。
そして、Aの代わりに、個室の影から、顔や身体がドロドロになった人間が現れます。そいつは、

「アァ……ははっ、グクッ」
みたいな声を出し、近ずいて来ます。
「クッソ。マジなんなんだよ!」
そして、建物から出ようとした。
……
しかし、自動ドアは開かない。
何度もドアを叩きますが、ビクともしません。すると、さっきまで動かなかったはずのエレベーターのドアが開き、トイレでみたドロドロの人間が、何体も出てきます。度重なる恐怖に、完全にパニックになった僕は、床に落ちていた鉄パイプで、ガラス戸を叩き割ろうとした時、
バンッ!!という音を立て、無造作なお面を被った奴がガラス戸に張り付きます。
「逃げられないよぉぉぉ!!」
……
「おい○○(僕の名前)いつまで寝てんだよ」
僕はAの声で目を覚まします。どうやら市電の中で寝てしまっていたようです。
(……んだよ。夢か……)
ふと自分の左耳を触ります。しかしイヤリングは付いていません。
どこかで落としたのでしょうか?
僕らはその後、ファミレスでご飯を食べ、僕が会計を済ませようとしたとき、僕はギョッとしました。その店員の顔が夢で見た会計の時の店員とそっくりなんです。偶然だと思い店から出ようとした時、
「すいません。お客様。」
店員に呼び止められます。

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コメント(6)
  • 男がイヤリング?

    2023/06/06/11:52
  • 男でも付けるやつは付ける

    2023/06/06/19:54
  • 僕っ子ならイヤリングをつけているかも。

    2023/06/06/22:28
  • kamaです。大好きですこーゆー話。異界ですね。いろいろ全部投げっぱなしで終わって回収されてないので、この後どうなったのか非常に気になります~~~下痢P友達はどうなったんでしょう!?
    続編あれば期待!!

    2023/06/11/00:07
  • 何だ、ホモだちの話か。

    2023/06/11/19:07
  • 興奮してきた

    2023/06/16/13:27

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